前回の記事に続いて、グリニッジを散歩します。

ロンドン南東部にあるグリニッジは、Maritime (海事)の街としてイギリス史だけでなく、世界史的にも重要な役割を担ってきた歴史を持つということで、ユネスコの世界文化遺産に指定されています。

広大なグリニッジ・パークでは、ランニングをする人、犬を連れて散歩する人、ベンチに座って読書する人など、多くの人が思い思いの週末を過ごしていました。

そんなグリニッジで有名なのが、なんと言っても グリニッジ天文台 でしょう。
1657年にイングランド国王のチャールズ2世が設立した王立天文台で、この天文台からの観測結果を元に、グリニッジ子午線(経度0度0分0秒)という国際的な標準ラインが設定されました。

技術の進歩により、後にさらに正確な線(本初子午線)が設定されたことでグリニッジ子午線は現在は国際的な標準線ではなくなっていますが、それでも歴史的に重要な意味を持ったということで現在も保存されています。

グリニッジ子午線のある場所には、東京(139°)を含め、世界の様々な都市の経度が刻まれています。

オクタゴン・ルームと呼ばれるこちらの部屋は、グリニッジ天文台の中でも最も古い建物。
この建物の上には赤いボールのような形をした「報持球」という器具が備え付けられており、午後1時になると上がった器具が下に落ちて時刻を知らせます。
実際に見ると、一気にストンと落ちるわけでなく、真ん中あたりでワンクッションあった後に下までゆっくり降りていくというような感じで、結構地味です 😂

初代グリニッジ天文台長に命ぜられたジョン・フラムスティードという天文学者は、日夜この部屋で天体観測を行なっていました。

王室から観測器具の支給がなかったため、家庭教師などのバイトなどをしながら自費で器具を揃えたという、頑張り屋のフラムスティードです。

グリニッジ天文台を離れ、続いて向かったのは 国立海事博物館 。
こちらには、大英帝国時代に世界の海を制した「イギリス海軍」に関する展示を見ることができます。

イギリス海軍の探検家として知られるジェームズ・クック船長の肖像画は、教科書などで見たことあるがある人も多いかもしれません。
熟練した航海術とその勇敢さで、南極圏や太平洋(ニュージーランド、オーストラリア、ハワイなど)を広く探索した人物です。

また、史上初めて「壊血病」による死者を出さずに世界周航を成し遂げたことでも有名です。
壊血病というのは、いわゆる〝ビタミンC欠乏症〟なんですよね。自分は『ONE PIECE』の漫画で初めて知りましたが、そういうわけでクック一行は「オレンジジュース」や「ザワークラウト」などから不足したビタミンCを補ったのだそうです 🍊
ちなみに、上の絵はクック船長がハワイで原住民に襲われて命を落とした時の様子を描いたもの。
話によると、彼の心臓は原住民の有力者たちによって食べられてしまったとのこと……。

こちらも偉大なるイギリスの海軍提督たちの肖像画、右からトーマス・キャベンディッシュ、フランシス・ドレーク、ジョン・ホーキンス 🇬🇧
当時のイングランド女王「エリザベス1世」から直々に許可を得て、覇権争いをしていたスペインの船や植民地を襲って莫大な富をイギリスに持ち帰った勇敢なる者たちですが、スペインにとっては悪名高い犯罪者……つまり、〝海賊〟というわけです。
これも『ONE PIECE』の読者ならピンと来たかと思いますが、物語の登場人物のモデルとなった人たちなんですね。

ネルソン提督の肖像画や、当時の海軍将校が着ていた制服なども展示されています ⚓️

個人的に興味深かったのはこちらの絵、誰が描かれているか分かりますか?
実はこの人物、フランス皇帝「ナポレオン」なんです 🇫🇷
随分とずんぐりむっくりしていて、多くの人が思い浮かべる〝勇敢で格好良い〟ナポレオンの姿ではありません。
この絵はワーテルロー(ウォータールー)の戦いでイギリス連合軍に敗れ、降伏してイギリス戦艦に乗り込んだナポレオンの様子を描いたものだそうですが、その表情から危機感や緊張感というものが全く伝わってこないように感じるのは自分だけでしょうか?
その立ち姿はまるで〝人形〟のようで、どこか滑稽に映ります。そもそも捕まっているのに肘を乗せてポーズを取るなんてやっぱり少し変ですよね、処刑される可能性だってあったわけで。
当時のイギリス人の間ではナポレオンは嘲笑の対象として多くのネガキャンが行なわれていたと言われており、もしかするとこの作品もそうした経緯で描かれた1つなのかもしれません。

博物館を楽しんだ後は、近くのグリニッジ・マーケットへ。
靴屋やアクセサリーなどのハンドメイドのお店、雑貨屋、古本屋、屋台など様々な種類のお店が並んでいるので楽しめます。

小腹が空いたので屋台が並ぶエリアを覗いてみましたが、激混みでホットドッグくらいしかすぐに食べられるものがありませんでした 😂

というわけで、グリニッジ散歩はこれにて終了。
ロンドンにおける〝横浜〟のようなエリアなので、日本人にとっても過ごしやすい場所じゃないかと思います 🇬🇧
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