今日は「イギリスのお金」について話してみたいと思います! 💰
イギリスの通貨

アメリカはドル、じゃあイギリスは……? 🇬🇧
実はこれ、意外と出てこない人が多いんですね。
イギリス通貨の正式名称は Pound Sterling ですが、実生活では「GBP / Great Britain Pound」もしくはシンプルに「Pound / ポンド」と呼ばれることが多いです。
通貨記号は £ となっており、アメリカドル($)やユーロ(€)、そして日本円(¥)などと同じく、世界の主要通貨の1つとして位置付けられています。
ちなみに、発音はポンドではなく〝パウンド〟なので注意 ⚠️
ドルのことをスラングで〝Bucks〟と呼ぶように、ポンドも Quid(クイッド)と呼ばれたりします。これ覚えておくと、実生活で便利です!
ちなみに Quid は既に複数形なので、1ポンドだけの時は使われません。
eg)I got this T-shirt for 5 quid at the boot sale, yay!
(フリマでこのTシャツ5ポンドでゲットしちゃった、イェイ!)
※ Boot Sale = イギリスにおける、いわゆる「フリーマーケット」のこと。
1ポンド未満の金額は、補助単位の Penny(ペニー)もしくは Pence(ペンス)を使います。
紙幣

現在、イギリス国内(イングランド)で流通しているお札は4種類。
全てイングランド銀行から発行されています。
額の大きい順に、50ポンド、20ポンド、10ポンド、5ポンド。
表面には故エリザベス女王が描かれ、裏面には各紙幣ともに独自のデザインが施されています。以前は紙製のものが使われていましたが、現在はプラスチック製のポリマー紙幣のみが生産されており、紙のものは既に使用できなくなっているので注意です。
50ポンド札

赤い50ポンド札には、第二次世界大戦でナチス・ドイツが使用した解読不能と謳われた最強の暗号機「エニグマ」の解読に大きく貢献し、その後のコンピューターの基礎を作ったイギリスの天才数学者 アラン・チューリング が描かれています。
背景には彼が開発した初期のコンピューターや彼の唱えた数式、そして〝This is only a forecast of what is to come and only the shadow of what is going to be/これは今後起こることへの予測に過ぎず、これからどうなるかの前触れに過ぎない〟という彼の言葉が書かれています。
紙幣の中では最大額の50ポンド紙幣ですが、流通量が少ないので日常的に見かけることはあまりなく、その額の大きさから使い勝手も良くありません。
また、額が大きいことから偽造されることも多く、お店によっては受け付けないという所もあります。
ちなみにチューリングはイギリスの勝利に一役買った人物でありながら、当時のイギリスでは違法とされていた同性愛者であることが発覚し、戦後、裁判で有罪となり、その後は白雪姫を真似て青酸カリ入りのリンゴを齧って自死するという何とも劇的な最期を遂げた人物でもあります。
20ポンド札

紫の20ポンド紙幣の裏面に描かれているのは、イギリスロマン主義の画家 ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー 。
背景には彼の代表作の1つ『解体されるために最後の停泊地に曳かれてゆく戦艦テメレール号、1838年』という絵画が描かれています。
この絵は、ロンドンのナショナル・ギャラリーで見ることができます。
一緒に添えられているのは、〝Light is therefore colour/光はすなわち色である〟という名言。
ちなみに自分はこの絵をまだ実際に見たことがありません。ナショナルギャラリーに訪れる時はいつも決まって貸出中で、なんか縁がないみたいです 😂
10ポンド札


オレンジ色の10ポンド札には、18世紀から19世紀にかけてイングランドの田舎の女性社会を舞台にした文学作品を幾つも残した作家 ジェーン・オースティン がデザインされています。没後200年の記念の意味も込めて採用されたそうです。
彼女の代表作『分別と多感』は、『いつか晴れた日に』というタイトルで映画化されてアカデミー賞を受賞していますし、『高慢と偏見』も『プライドと偏見』というキーラ・ナイトレイ主演のアカデミー賞映画となりました。
紙幣には文豪ということから、〝I declare after all there is no enjoyment like reading!/読書より楽しいものなんてないわ!〟という言葉がデザインされています。
一見すると本好きの女の子のピュアな感情を表しているようにも見えますが、実は該当作品である『高慢と偏見』を読むと意味合いが少し違うような……というのは意外と有名な話。
先程の一節は、『高慢と偏見』に登場する女性キャラクター「ミス・ビングリー」が発したもの。
彼女は主人公エリザベスの家の近くに引っ越してきた富豪、ビングリー氏の高慢な妹でした。彼女には好意を寄せる男性がいたのですが、彼は読書ばかりでなかなか振り向いてくれず。痺れを切らした彼女は、そこで遂にあの台詞を言い放つ、というわけ。
どうしてこの皮肉めいた一文が選ばれたのかは分かりませんが、オースティンファンの間では不評だったというのも頷けるくらい微妙な選択肢ですよね〜、うちの奥さんも文句を言っていました(笑)
オースティンに興味のある方は、彼女のゆかりの地 Bath (バース)を訪れてみるのも面白いと思いますよ!
5ポンド札


青い5ポンド札には英国首相を二度務めた ウィンストン・チャーチル が、イギリス議会が議事堂として使用しているウェストミンスター宮殿とともに描かれています。
第二次世界大戦の際のリーダーとしてナチス・ドイツと対峙し、国を窮地から救った男は今でもイギリス国民の心の拠り所。大きな戦争には未だかつて敗れたことがない、というイギリスのプライドは、彼が植え付けたものといっても言いかもしれませんね。
〝I have nothing to offer but blood, toil, tears and sweat/私には血と苦労と涙と汗以外に何もない〟という有名な就任演説の一節は、5ポンド紙幣を使うたびに自分の心に響きます(笑)
ちなみにチャーチルが勝利(Victory)を意味するピースサインを見せる写真は有名ですが、実際は貴族階級出身だったゆえに一般階級で使われている〝裏ピース(侮辱のジェスチャー)〟をを知らなかったからだそうです。
これは今でも使っちゃダメですが、サッカースタジアムでは全然OKです!(自己責任)🤣
コイン編
現在、イギリス国内(イングランド)で流通しているコインは8種類。
そのどれもが、長い歴史を誇る王立造幣局(The Royal Mint)で製造、造幣されています。


2ポンド/1ポンド


外側が金色で内はシルバーという二重構造をしている特徴的なコインですが、大きい方が2ポンド、小さい方が1ポンドとなります。
分厚いので、手のひらに乗せた時もずっしりと重みを感じることができます。
1ポンドは円形に見えますが実は正十二角形をしており、王冠にイングランドのバラ、スコットランドのアザミ、ウェールズのリーキ(西洋ネギ)、北アイルランドのクローバーと、「Great Britain」を構成する4つの国々の紋章がデザインされています。
イギリスのスーパーではカートを使うのに1ポンド硬貨が必要なことが多いので、買い物に行く際は必ず持ち歩きましょう 🛒
50ペンス/20ペンス


続いて正七角形という珍しい形が特徴的な、50ペンス硬貨(大きい方)と20ペンス硬貨(小さい方)。
50ペンス硬貨は大きいので財布の中で目立ちますし、2枚で1ポンド(=100ペンス)になるので結構便利です。
- 50ペンス硬貨 × 2枚 = 1ポンド
- 20ペンス硬貨 × 5枚 = 1ポンド
10ペンス/5ペンス


大きい方が10ペンス硬貨で、小さい方が5ペンス硬貨。
円形ということで、他のコインとの区別は意外と簡単!
5ペンス硬貨に関しては全硬貨の中で一番小さいので逆に目立つほか、道端などで拾う確率が高い硬貨というのも特徴かもしれません 💪
2ペンス/1ペンス


最後に紹介するのがイギリスの現金の中で最小単位、大きい2ペンス硬貨と小さい1ペンス硬貨。
ブロンズ製なので他の硬貨とは色で簡単に識別できますし、重量も軽いです。
飲食店などでは2ペンス程度だと会計の際にお釣りを受け取らなかったり、またテーブルに放置して帰って行くお客さんなどもいて、残念ながらイギリス人にはあまり愛されていません 😂
5ペンス硬貨は小さすぎて無くす人が多いのに対し、これらの硬貨は価値が低いという意味で無くしても困らないため、道端などでよく見かけます(笑)


使い所としては、お会計の支払いの際に端数として使うか、もう一つ面白いのはアーケードのメダルゲームのコインとしても使われます。
日本だとメダル専用コインに両替することが多いですが、イギリスではお金をそのまま使います。しかも必ず大きい方の2ペンス硬貨で、1ペンスは基本的に使われません。
また、家族でトランプなどのゲームをする際に賭けで使われるのもこの2つの硬貨で、それゆえ我が家ではむしろ積極的に集めていたりもしますね(笑)
イギリスのお金の複雑性




ここまでイギリスのお金について話してきたが、あくまでもこれは〝イングランド〟の話。
イギリスは大きく4つの国から構成される連合王国というのは既にご存知だとは思いますが、実は紙幣に関してもそれぞれ独自のものを発行しており、スコットランド、北アイルランドはイングランドとは異なるポンド紙幣を持っています。
悲しいかな、ウェールズに関してはいつもイングランドのペットみたいな立ち位置なので、独自の紙幣がなく、そのままイングランド紙幣を使わされています 😂
というわけで、どういう感じでイギリス国内でお金が流通しているか少し見てみましょう!
【イングランド】
イングランド紙幣は、スコットランド、北アイルランドで問題なく使用可能。
【スコットランド】
スコットランド紙幣は、イングランド、北アイルランドで使用できるが、お店によっては受け取りを拒否される場合もあり。また、スコットランド1ポンド紙幣はスコットランド国内でのみ使用可。
【北アイルランド】
北アイルランド紙幣は、北アイルランドでのみ使用可能。
【アイルランド】
アイルランドはEU加盟国なので、通貨はユーロ。イングランド紙幣、スコットランド紙幣、北アイルランド紙幣は使用不可。
シンプルで、簡単ですね 👍
ちなみに、アイルランドは北アイルランドと同じくアイルランド島にありますが、1949年にイギリス連邦から正式に独立し、現在はEU加盟国となっているため、通貨はユーロとなります 🇮🇪
———も……もう訳分からんわ!! 🤣
というあなた、一旦落ち着きましょう。
ここで面白い話をすると、スコットランド紙幣と北アイルランド紙幣を発行している銀行が複数存在するということ。
そして、その銀行ごとによって違うデザインの紙幣を発行しているため、紙幣のデザインが沢山あるそうなんです。
どうですか、面白いでしょ?
まとめ
というわけで、イギリスの紙幣について詳しく分かったところで今回は終わりたいと思います。
(早く終われ、と思っている方が多いと思うので 😂)
何が凄いって、全然統一する気がないということですよね(笑)まぁそれほど各々のプライドが高いということなんだと思いますが、外から来る人にとっては厄介極まりないですよね、マジで(笑)
ちなみに観光客の中にはスコットランドや北アイルランドを旅行して、余った紙幣を日本で両替しようと考える人もいるかもしれませんが、スコットランド紙幣、北アイルランド紙幣はイギリス国内でのみイングランド紙幣に両替可能だそうなので、基本的には現地で使い切ってしまった方が良さそうですね。
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まぁこんな面倒くさいシステムについて頭を悩ませるくらいなら、やっぱりカードを使った方が良いという話です。
海外旅行に行くなら、オススメは間違いなくソニー銀行の「Sony Bank WALLET」ですかね 💡
これはもうググったら色々な方がお勧めしているはずなので分かると思いますが、海外において使い勝手がめちゃくちゃいいです。
例えば、日本円を外貨口座(米ドル、英ポンド、ユーロ、豪ドルなど)に預金しておくと、現地で買い物をする際にその外貨口座から引き落としてくれるため海外事務手数料がかからず、他のカードよりお得にショッピングを楽しむことができます 🛍️
残高確認や、為替レートのチェック、追加の外貨入金など、全てスマホアプリで出来るので、レートが安くなった日に、「あ、今日ちょっと安いから入れとこ〜」みたいなことが簡単に出来るうえ、わざわざレートの良い両替所を探したり、長いこと行列に並んだり、英語ができないのをいいことに両替所の奴らイカサマされたり……みたいな手間やリスクとも無縁です。
2025年3月から Apple Pay にも対応とのことで、iPhone や Apple Watch でそのまま支払いできちゃいます ☝️
自分もワーホリ中はマジでお世話になりました!
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というわけで、今回はイギリスのお金について紹介してみました!
自分はワーホリでオーストラリアに住んでいたのでイギリスのお金に慣れるのも早かった(オーストラリアドルのデザインはポンドとかなり似ている)ですが、そうじゃない方は是非この機会にマスターしてみて下さい 👍
最近は新君主となったチャールズ3世の〝キング〟デザインのお金も少しずつ流通し始めているそうなので、今後はまた新しくそちらの記事も書くかもしれません!
次第に女王のものが少なくなっていくはずなので寂しいですが、記念に持っておくといいかもしれませんね!
ちなみに留学やワーホリなどでイギリスに長期滞在する方は、現地の銀行口座についての記事もあるのでこちらも是非参考にしてみて下さい 👇👇






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