〝日本のトイレは世界一〟と言われるほど、日本人がトイレにこだわりを持っているというのは世界でもよく知られたところ。
そんなトイレ先進国からやってきた日本人が、移住先のイギリスをどう見たのか?
常に世界経済の中心にいる、同じく先進国「イギリス」のトイレ事情について、今回は実際に自分が経験して感じたことを話していきたいと思う。
イギリス人のトイレ観

まず「トイレ」と聞いて、あなたはどのような印象を持っているだろうか?
家のトイレはもちろん、学校、職場、レストラン、ショッピングセンター、駅など様々なトイレを思い出すことだろう。
トイレはプライベートな空間というだけあって、ただ単に用を足すだけでなく、漫画を読んだり、音楽を聴いたり、〝便所メシ〟なる文化も存在しているほど、日本ではトイレについて概ね好印象を持つ人が多いはずだ。
一方、イギリスでは人々の考え方が少し違っているように感じる。
自分の知っているイギリス人に尋ねてみたところ、彼らにとってトイレはあくまでも「用を足す」ためだけの場所で、リラックスする場所にはならないという意見が多く出た。
奥さんもトイレでリラックスするより、ちゃんとしたイスに座った方がよっぽどリラックスできると断言しており、トイレに対して特別な感情を持つ人は多くなく、あくまで用を足すためだけの空間として機能しているといった印象を受けた。
イギリスには公共トイレが少ない?

そんなトイレに対してネガティブな印象を持つ人が多いイギリスという国だが、誰もが自由に利用できる「公共トイレ」の数も、やはり日本と比べて少ないように感じる。
ただ、全くないかと言われればそういうわけでもなく、必要な場所にはちゃんとある。
飲食店
飲食店を例に挙げれば、一般的なレストランはもちろん、Costa Coffee や Caffe Nero などのカフェ、マクドナルドやバーガーキングなどのファストフード店などには小さい店舗を除いて基本的にトイレは設置されていることが多い。
しかしトイレだけを借りるというのは基本的には認められておらず、何かを先に購入してからトイレを使うというのが一般的だ。日本のコンビニように何も買わずにトイレだけ借りようとすると、店舗によっては店員にストップされてしまうケースもあるようなので注意。
小売店
「スーパー」や「デパート」などの小売店でもトイレを見つけることができる。

特にイギリスの〝上流スーパー〟に位置付けされる「Marks & Spencer」はオススメ。
M&Sの実店舗(コンビニ形態でない)にはカフェが併設されていることが多く、他のカフェチェーンのようにごちゃごちゃしているわけでもなく、トイレも比較的クリーン且つ空いている場合が多い。
自分も都心でトイレに行きたくなった際は、まず〝近くにマークシーズないかな〜〟と考え始める。
駅

駅にもトイレはある。
ただ小さい駅にはないこともよくあるので、トイレを使いたい時は比較的大きめな駅で済ませるようにした方がいい。無料で使用できることがほとんどだが、場所によっては有料(大体1ポンド以下)であるケースもあるので注意したい。
奥さんいわく、コヴェント・ガーデン駅のトイレは有料なのだが、近くのカフェで何か購入すると駅の「トイレ無料券」なるものが貰えるらしい。
有料だから〝トイレは綺麗だろう〟と期待してしまうのが日本人的な考えだが、特にそういうわけでもなく、至って普通のトイレらしい。有料でもトイレはトイレで、それ以上でも以下でもないのがイギリスという国なのだ。
自分も1度ベルギーで有料トイレを使用した経験があるが、普通に汚いトイレでびっくりしたのを覚えている。ヨーロッパはどこもみんな同じ感じなのだろうと思う。
博物館/美術館

個人的なオススメは「博物館」や「美術館」などの公的施設だ。
特にロンドン中心部は博物館や美術館が多く点在しており、またその多くが政府が運営する公的機関であることから、入場料がかからず誰でも無料で利用することができる。
誰でも利用できるということはやはり汚いのでは……?と思うかもしれないが、公的施設であるがゆえにトイレは基本的に清掃員の方が管理してくれているケースが多く、経験上、こうした場所のトイレは清潔なことの方が多い。
コンビニ
日本の公共トイレ数に多大な貢献をしている「コンビニ」だが、残念ながらイギリスのコンビニにはトイレがないことがほとんどだ。
「ない」と断言することはできないが、経験上、町のコンビニでトイレを見かけたことは1度もない。ひょっとするとトイレが借りられるコンビニもあるのかもしれないが、基本的には「ない」という認識で構わないだろうと思う。
公共トイレの清潔度

これまでに既にちょくちょく触れているので改めて説明する必要もないだろうが、イギリスの公共トイレは日本と比べて汚いことが多い。
床にティッシュペーパーが散乱していたり、とんでもなく濡れていたり、詰まっていたり、食べ物のゴミが落ちていたり……が一般的な例だろう。
トイレだけでなく、手洗い場にゴミが散乱しているケースもよくある。
トイレにゴミ箱が設置されていないところが多いというのが理由の1つかもしれないが、この惨状こそ人々のトイレに対する価値観を表しているといつも思う。「トイレ=不衛生」というような、だから「ゴミを捨てても構わない」的な発想の人が多いのだろう。〝どうやって使えばこんなに汚くなる……?〟と目を疑ってしまうレベルのトイレに遭遇したことも度々ある。
1度ショッピングモールのトイレで手を洗っている最中、清掃員の女性が個室で叫び声を上げたので駆け寄ったところ、個室の床に赤い液体が広がっていてゾッとしたことがある。結局、その正体は単にジュースだったようで(ペットボトルも落ちていた)事件性は無いようだったわけだが、男性の自分でも未だに公共トイレを利用する際は少し気を遣ってしまうのが実情だ。
このブログの読者の中には女性の方も多いはずなので、奥さんに女子トイレ事情も聞いてみたが、話を聞く限りどうやら男子トイレよりもカオスそうだった。
「駅のトイレは、絶対に行かない」というのが奥さんのポリシーらしい(笑)
というわけで、残念ながら女性の方はイギリスではトイレに苦労するかもしれない。
ウォシュレットはない?
日本のトイレには公衆トイレを含めてウォシュレット付きの便座が多いが、1歩海を渡るともうそこは〝ウォシュレット圏外〟なわけで、当然、イギリスのトイレにウォシュレットなどあるはずもない。
「おしりを洗ってトイレを出る」という習慣が身体に染み付いている日本人にとって、「ティッシュで拭ってそのまま出る」というのは、もはや不快な行為だと断言できる。
では、ウォシュレットと完全に決別しなくてはならないかと言われると、そういうわけでもない。探せばある。諦めてしまえば、そこで試合終了だ。
例外は、ロンドン中心部にある一部の「高級ホテル」や「日系企業」のオフィス。
経験上、そういった日本と関係のある場所ではやはり日本製のウォシュレット付きトイレを置いているところが多い。自分もイギリスで就活中に企業に訪問するようになってから、オフィスのトイレがいかに清潔かを改めて実感した。
特に日系企業のオフィスにあるトイレはかなり清潔。

自分が勤めていた某日系企業では、TOTO製のウォシュレットを置いていた。イギリスに来てから初めて見たウォシュレットだったので感動したし、やはり綺麗なトイレがあると気持ち的にも安心感が生まれる。
ちなみにTOTOのウォシュレットはイギリスでも買えるらしく、ロンドンやマンチェスターなどにショールームもあるそうなので気になる方は見てみるといい。
ちなみに、お値段は相当する。

携帯用ウォシュレットは超便利!
旅行やワーホリでイギリスを訪れるといった方々には、「携帯用ウォシュレット」を強くオススメしたい!

ウォシュレット付きトイレのない環境下でも「水」さえ用意できればいつでも簡単におしりの清潔を保つことができるので、自分もイギリスで大変重宝している。
特にこの Panasonic の携帯ウォシュレットは電池式で、スイッチひとつで強弱も変えられるので非常に便利!付属しているコネクターを付けると500mlのペットボトルを装着することもできるため、十分な水量が確保できるのもオススメポイント。
実際に奥さんも、この携帯用ウォシュレットは自分が日本から持ってきた中のお気に入りに挙げている。
1つ注意点として、イギリスにはコネクターに合う口のペットボトルがあまりないため、渡英の際に日本からペットボトルを1つ持ってくるか、もしくは Japan Centre などのアジア系スーパーで日本の飲料水を買って再利用するといいだろう。
個人的には500mlでなくても、350mlあれば十分な水量を確保できると思う。

ちなみに自分はオーストラリア・メルボルンにワーホリに行った際、容器を握って水を押し出す簡易型ウォシュレットを持っていったことがあるが、初日に壊れて使えなくなるという絶望的な経験をしたのでオススメしない。
ウェットティッシュは代用品!
携帯用ウォシュレットを持っていくほどではないという人には、ウェットティッシュがオススメ!


イギリスのスーパーには水に流せる(Fine To Flush)ウェットティッシュが売られていて、我が家でも先ほど紹介した携帯用ウォシュレットと二刀流で、日々のおしりのケアをしてくれている。
子犬が描かれた Andrex というブランドが有名で、大抵どこのスーパーでも見つけることができる。値段は1パック/1.5ポンドほどで、日本円で約250円。


ちなみに、最近使っているのは Sainsbury’s で売られているココナッツオイルが含まれたウェットティッシュ。ココナッツの匂いも強すぎず、ほんのり香る程度なので使いやすい。


こちらは携帯用の「V.I.Poo」という液体スプレーで、用を足す前にシュッと便器に吹きかけるとレモンの香りが臭いをブロックしてくれるというもの。これも結構使えるので、個人的にオススメしたい。
まとめ


というわけで今回はイギリスのトイレ事情について、自分が約1年間、現地で生活してみて感じたこと、思ったことを書いてみた。
多くの外国人が日本のトイレの綺麗さに驚くように、日本人の自分も外国のトイレの汚さに驚いたが、ある程度場所を選べばそこまで気になるようなことでもない(女性の場合はまた少し違うかもしれないが)。
またウォシュレット文化のないイギリスであっても、現地で売られているグッズで十分に対応することが出来るのでそこまで悲観しなくても大丈夫だ!
皆さんも、海外に行く際のおしりのケアは十分に。
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