今回はまたまたお義父さんに付き添ってノリッジ・シティの今度はカップ戦に参戦してきたので、その時の様子をお伝えしていく。
今回ノリッジが対戦するのは、イングランド1部のプレミアリーグに所属する古豪 Fulham FC。日本では〝フルハム〟と表記呼されていたりもするが、現地では〝H〟の発音は全くされないため「フラム」と呼ぶのが正しい。
フラムと言えば、個人的にオーストラリア代表のGKだったマーク・シュウォーツァーがいた頃を思い出す。2023年のカタールW杯では解説者としてイギリスメディアの質問に答えていたが、あの頃のオーストラリアは、キューウェル(リヴァプール)、ケーヒル(エバートン)、ニール(ブラックバーン)、ムーア(ニューカッスル)など、プレミアでも名を馳せていた選手が沢山いて、日本にとって憎らしいくらい手強い相手だった。
2022-23シーズンは現在ノリッジが在籍しているチャンピオンシップ(2部リーグ)からカムバック、プレミアリーグで10位となり残留に成功したものの、やはり中堅以下といった印象は否めない。
しかし今回は初めてのアウェーゲーム、戦々恐々と現地へ乗り込む……
ロンドン西部の高級住宅街 Hammersmith(ハマースミス)地区に位置し、最寄り駅はロンドン地下鉄ディストリクト線のパットニー・ブリッジ(Putney Bridge)駅。
2つ手前の駅には Chelsea FC(チェルシー)が本拠地とする Stamford Bridge(スタンフォード・ブリッジ)があり、行きの電車内で多くのサポーターを見かけた。ちなみにこの日のチェルシーの相手は三笘選手が所属する Brighton & Hove Albion FC(ブライトンFC)だった。
レンガ造りの橋の下は、大柄なイギリス人にとっては歩くのが窮屈なほど天井が低い。
テムズ川沿いの道からは、夕日に照らされた美しいパットニー・ブリッジを見ることができた。
1950年頃までは対岸を〝ペニー・フェリー(今でいうワンコインフェリー)〟が行き来しており、フットボールの試合がある日は多くのサポーターから楽しまれていたのだそうだ。
スタジアムに向かって静かな川沿いを歩くと、犬を散歩させたり、ジョギングを楽しむ人と多くすれ違う。
イギリス国旗を背に、ボートの練習に勤しむ学生の姿もあった。
お義父さん曰く、学生スポーツとして有名なあのオックスフォード大学とケンブリッジ大学の伝統のレガッタ対抗戦「The Boat Race」はこの橋からスタートするのだそうだ。
サッカーばかりに目が行きがちだが、イギリスは本当に様々なスポーツイベントがあるので面白い。
川沿いの道から、今度は閑静な住宅街を通り抜けていく。
本当に近くにスタジアムがあるのかと首を傾げてしまいそうになったが、やがて古びた煉瓦作りの建物が見えてきた。
一瞬〝駅〟かと勘違いしてしまいそうだが、この味のある縦長の建物こそ、まさしくフラムFCの本拠地「クレイヴン・コテージ」だ。1780年に当時の William Craven(ウィリアム・クレイヴン)男爵が建設したコテージ(Cottage)が起源となっている。
1896年開場という歴史と伝統を併せ持ったスタジアムで、一部の建物はイギリスの歴史的文化財にも指定されている。正面にはクラブのレジェンドでイングランド代表のキャプテンとしても活躍した、Johnny Haynes の銅像が建つ。
古き良きイングランドのフットボール文化を象徴するかのような寂れて味のある外観は、強豪クラブの最先端で超巨大スタジアムとは真逆の美しさがある。
住宅街にあることからも分かる通り、まさに〝地元〟のクラブといった感じだ。
そうするうちに何処からかスタッフが集まり始め、多くのセキュリティーに囲まれながら選手たちを乗せた大型バスがやって来た。
急遽、お義父さんたちとカラバオカップ観にフラムにやってきた。出待ちしてたらウィリアン見れた!!
— テムズの畔で|ロンドン生活 🇬🇧 (@by_thames) September 27, 2023
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そこそこ大きなスタジアムだと普通はバスがスタジアムの敷地内まで入って選手を降ろすが、クレイヴン・コテージは小規模なためバスも路駐するしかなく、ゆえに間近でスタジアム入りする選手たちを見ることができるし、普通にハイタッチもしてくれる。
かつてチェルシーで活躍した元ブラジル代表のウィリアンが出てきた際は、大きな声援が飛んでいた。
選手のスタジアム入りを見届け、自分たちもいよいよクレイヴン・コテージへ。
古い建物らしく、入場ゲートが驚くほど狭い。人ひとり通り抜けるのがやっとで、恰幅の良いサポーターたちは身体を押し込むようにして入場していたが、皆揃って楽しそうで、そういった光景を見るのもイングランドのフットボールを感じられて良い。
荷物を持参していた自分は、「Bag Search Only」と表示されたゲートで所持品検査を受けてから入場。
イングランドのスタジアムではテロやフーリガン対策のためバックパックですら持ち込み禁止な所も多く、そのため地元サポーターは手ぶらでやって来ることがほとんど。
クレイヴン・コテージではA4サイズ以下の荷物なら持ち込みOKだが、イングランドでサッカー観戦する際は事前にホームクラブのウェブサイトで確認しておくといい。
ちなみに、参考のために自分が持ち込んだ荷物も載せておく。
ユニクロのサコッシュの中にはモバイルバッテリー、ケーブル、そして防寒着としてユニクロのポケッタブルパーカーなどを入れていた。(大きさを比較するために500mlのペットボトルを置いたが、実際は飲み物は持ち込み不可)
塀の外から少しだけ見えていたコテージには特別なバルコニー席もあるようで、入り口の前にはスタッフが待機。
公式サイトで見る限り、現在はコテージ内は改装されて小綺麗なパブのようになっていたが、スタジアムツアーの際はここにも入れてもらえるようだ。
というわけで、こちらがスタジアム内部。
柱の付いた正面スタンドと先ほどのコテージが文化財に指定されているそう。
パノラマ撮影した写真からだと、右端に独立したコテージのバルコニー席があるのがよく分かる。
フラムの本拠地 Craven Cottage(クレイブン・コテージ)の雰囲気はこんな感じ。スタジアムの一部は文化財にも指定されている。#イングランド #カラバオカップ #プレミアリーグ #スタジアム #ロンドン #イギリス #イギリス生活 #海外生活 #留学 #ワーホリ #海外旅行 #スポーツ観戦 #サッカー pic.twitter.com/WfF2do2tya
— テムズの畔で|ロンドン生活 🇬🇧 (@by_thames) September 29, 2023
選手の練習風景を眺めていると、数人のおじさんサポーターが手にパイを持ってやって来た。何だか美味しそうだったので、キックオフ前の腹ごしらえにと自分も売店でチキンパイを買ってみた。
これが美味しくて、普通に2、3個ペロリといけてしまいそうなほど。やはり食べ物は現地の人、特におじさんたちが食べているものを参考にすると大体ハズレないというのが自論。
お腹も満たされたところで、いよいよお待ちかねのキックオフ!
惜しいシーンもあったんだけど……でもこのサポーターたちの反応がめちゃくちゃイングランドで最高。#イギリス #イギリス生活 #イングランド #サッカー #フットボール #カラバオカップ #プレミアリーグ #ロンドン #留学 #ワーホリ #海外旅行 #スポーツ観戦 #海外サッカー pic.twitter.com/E5DCcsIYlh
— テムズの畔で|ロンドン生活 🇬🇧 (@by_thames) September 29, 2023
ノリッジも惜しいシーンを何度も作るが、あと1歩のところで決めきれず……
健闘はしたものの、結局1ー2でフラムに敗戦。試合終了のホイッスルが鳴った後、無言でグラウンドを見つめる年配サポーターの背中が切ない。
後半にフラムに2点目を奪われた後、ノリッジもすぐさま1点を返して「これでいける!」と思ったのだが、何度か訪れたビッグチャンスを決めれず、最後は微妙なジャッジもあって終わってしまった。それでも試合は終始フラムが押す格好だったので、妥当な結果と言えばそれまでかもしれない。
海外のフットボール観戦で心配な治安面に関しても、この日のマッチでは問題なかった。強いて言えば、ヤンチャそうな中高生たちが「VAPE」と呼ばれる電子タバコを吸いながらチャント代わりに後ろの壁をバンバン叩いていて相手に向けて汚い罵り言葉や手で威嚇していた程度で、全く安全そのもの。イタリアやスペインのように、ガラス瓶や豚の頭が飛び交うなんてこともなかった。
いずれにせよ、イギリスに来てから2度目のフットボール観戦ということで楽しめた。フラムやノリッジといった中堅以下のクラブになるとスタジアムに観光客の姿はなく、ほとんどが地元サポーターなので、本当の意味で〝イングランドのフットボール〟を体感したい人には是非オススメしたい。
これで一応プレミアリーグとカラバオカップは観れたので、後はFAカップ、そしてやはりチャンピオンズリーグは絶対に観てみたいという気持ちが強くなった。特に今シーズンはアーセナルが戻ってきたので、どうにかチケットを手に入れることができればと思う。
【Craven Cottage/クレイヴン・コテージ】
ロンドン地下鉄ディストリクト線、パットニーブリッジ駅から徒歩20分
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