【オランダ・ベルギー観光②】マウリッツハイス美術館で『真珠の耳飾りの少女』を鑑賞!

オランダ観光(アムステルダム周辺)

スキポール空港からデン・ハーグへ

スキポール空港に到着後、首都アムステルダムでなくデン・ハーグに向かった理由は、 マウリッツハイス美術館 に訪れることになっていたから。

聞き馴染みのない美術館かもしれないが、フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』と言えば、その名前を聞いたことがない人の方が少ないだろう。青いターバンを巻き、真珠のイヤリングをした女性が振り返っている様子は、世界で最も有名な絵画の1つとして多くの人に知られている。

そんな有名絵画を所有・常設展示しているのが、オランダのマウリッツハイス美術館なのだ。

というわけでアムステルダム中心部とは逆方向にある、オランダ第3の都市と言われるデン・ハーグへと向かうことに。

スキポール空港から美術館の最寄りであるデン・ハーグ中央駅までは、オランダ鉄道(NS)のインターシティ(IC)という特急電車で直通のはずが、この日はなぜかハーグ行きの電車が一切出ておらず、駅員に聞くと、途中の ライデン中央駅(Leiden Centraal)まで行き、そこから代替バスに乗ってデン・ハーグまで行くしかない、とのこと。

飛行機が遅延し、電車も運休……

旅にトラブルは付きものというが色々と起こる。に見舞われることになってしまい、果たして時間内に着くのか……という不安を抱えながらのスタートに。

通行止めの理由は、これが原因だった模様。

オランダの列車脱線、保守作業車が路線に 1人死亡し数十人負傷
- オランダ西部ハーグ近郊のフォールスコーテンで4日未明、夜行列車が脱線したが、保守作業車の起重車との衝突が原因で、この事故で乗客数十人が負傷し作業車の1人が死亡した。
ロイター通信 04/04/2023

とりあえず券売機で往復チケットを購入し、急いでライデン中央駅行きの電車に飛び乗った。

スキポール空港からオランダ鉄道のホームに降りるための改札というのは無く、エスカレーターがある場所に切符の読み取り機だけちょこんとがある感じで危うくタップするのを忘れそうになった。

正直言うと切符を買わなくても簡単に乗れてしまうような気がしたが、これがオランダ流なんだろうか?

電車には1等席と2等席があり、各車両に番号が振ってあるのでそこに乗る必要がある。

一般の2等席とはいえ、シートはしっかりしている。

ちなみに1等席は2等席より少し高級感があるようなだけで、そこまで大きな違いがあるようには感じず。

緑溢れる景色を眺めつつ、約20分ほどで中継地点である「ライデン中央駅」に到着。小雨の降るなか今度はバス乗り場へと向かい、代わりのバスに乗り込む。

普通の市バスのようなものだと思っていたら予期せず観光用のバスが来て、乗り心地もよくガッツリ寝られた(笑)

オランダ第3の都市「デン・ハーグ」

バスに揺られること約30分、Den Haag Mariahoeve駅に到着。そこから再びオランダ鉄道に乗って約10分で、ようやく目的地の デン・ハーグ中央駅(Den Haag Centraal)に到着!

憲法上の首都はアムステルダムとなっているが、過去長らく首都だったデン・ハーグには現在でもオランダ議会や首相官邸、王室の宮殿、各国大使館などがあるだけでなく、国際司法裁判所や国際刑事裁判所といった世界的に重要な国際機関も本部を構えており、この町がオランダの実質的な首都機能を担っている。

この時点で既に美術館の予約時間を過ぎていたため急いで美術館へ。

美術館のある広場には、オランダがスペインから独立する時の中心人物で、後にオランダの初代君主となる「オラニエ公ウィレム1世」の巨大な銅像が建っている。

マウリッツハイス美術館

駅から歩いて約10分ほど、本当にようやく目的地のマウリッツハイス美術館に辿り着いた……!!

空港からはるばる1時間半近くもかけてやって来たが、本来なら直通電車で30分で行ける距離だというのを忘れてはいけない……

既に予定時刻を大幅にオーバーし、次の予約時刻と丸被りしてしまっていたが、係員の方に事情を説明して無事に入場することができた。

他の美術館と比べて比較的ゆったりと楽しめるという話を聞いていたが、お昼過ぎだったせいか、予想よりもずっと混んでいて驚いた。

この館は1633年から44年の間に、ヨハン・マウリッツという人物の私邸として建てられたことが説明されている。

〝ハイス〟はオランダ語で「家」の意、つまりこの美術館の名前は〝マウリッツ邸美術館〟というこというわけだ。

ヨーロッパの美術館はとにかく装飾が豪華!!

それでいて雰囲気はすごく落ち着いているので、なんとも不思議な感じだ。

館内の窓から眺めた景色、これだけでもどこか絵になるような気がしてならない。

ヨハン・マウリッツ氏の肖像画

こちらが先ほど紹介されていた、当館の主人あるじであった「ヨハン・マウリッツ伯爵」。

オランダ西インド会社が経営するオランダ領ブラジルの総督を務め、奴隷制を利用してサトウキビ畑などの砂糖産業で莫大な財を築き上げた人物だ。

この邸宅も、その時の資金で建設されたのだそうだ。

テュルプ博士の解剖学講義

オランダの巨匠、レンブラント・ファン・レインの出世作と言われる「テュルプ博士の解剖学講義」。

この絵はアムステルダム外科医師会の市制解剖官であったニコラス・テュルプ博士が1632年に行なった解剖学の公開講義を記念して、レンブラントが26歳の頃に依頼されて描かれたものであり、「集団肖像画」というジャンルにおける傑作の1つと言われている。

集団肖像画といえば顔が一列に並ぶように描かれるのが一般的だったそうだが、レンブラントは各々の行動を描いて絵の中に行動と動作を組み入れた。その結果、より躍動的な絵を描くことに成功したという。

実際、解剖学を聞いている医師たちは全て別々の方向を向いており、全て違う表情をしている。ちなみに解剖されているのは、その日に絞首刑になったばかりの犯罪者なんだとか。

サウルとダビデ

旧約聖書に登場するイスラエル王国初代王サウルと、羊飼い出身で竪琴の名手ダビデ。ダビデは王より寵愛を受けていたが、ゴリアテという巨人兵士を倒したことで一躍人気となり、そのせいで王の妬みを買ってしまうことに。

この作品は、そんな人気者を妬む王がダビデを殺そうと槍を抱えつつも、同時にダビデの奏でる琴の音色に感動して涙を拭う場面を描いている。どんな感情?!と突っ込みたくなるが、一説にはサウル王が精神病を患っていたとも言われているらしい。

この作品の面白いのは、以前に〝レンブラントの作品ではない〟とされ、表舞台から姿を消した過去があるということ。

その後、マウリッツハイス美術館の細かな調査と世界中から集められた修復チームによって、改めて正式にレンブラントの作品であると結論づけられ、盛大なカムバックを果たした。

ろうそくを持つ老女と少年

こちらも巨匠と言われたベルギーの画家、ビーテル・パウル・ルーベンスの作品。

老女のろうそくの火を自分の方へ移そうとしている少年の眼差し、光と影のコントラストが美しく、個人的に印象に残った1つ。

イタリア人画家「カラバッジョ」の技法を取り入れたと言われているこの作品は、余った板切れを継ぎ合わせたものに描かれており、ルーベンスが気に入っていたからか売られることなくずっと彼の手元に残っていたものだそう。

後に同じ構成の版画を出版した際に、彼は絵の下に古代ローマの詩人の著書の〝若くて美しいうちに多く恋をせよ、そうすれば年老いてから後悔せずに済む〟という一節を付け加えている。

真珠の耳飾りの少女

小さな美術館にもかかわらず、ある一角だけ不自然なほど賑わっている場所を発見……

遠目からでも分かる、その理由。

いよいよ、本物と対面できる時がきた……!!

正真正銘、本物の『真珠の耳飾りの少女』だ!!

辿り着くまでに時間が掛かったが、大変な思いをしても来た甲斐があった……

2023年2月からアムステルダム国立美術館で開催されているフェルメール展に、マウリッツハイス美術館からも所有する3つの作品全てが借し出されていたが、4月になって『真珠の耳飾りの少女』だけ戻ってきたことで自分たちは運良く現物を見ることができた。

残りの2作品(『デルフトの眺望』、『ディアナとニンフたち』)も見てみたかったが、世界で約35点しかないとされているフェルメール作品のうち28点が大集結するという、まさに〝史上最大のフェルメール展〟ということでチケットは即完売……

そんなわけで主人公不在の美術館では、その間、アレンジの効いた現代版『真珠の耳飾りの少女』を募集、選ばれた作品をこのように展示していたわけだが、やはり本物には勝てっこない。

真っ黒な背景に映える白い肌、瑞々しい唇、そしてターバンの鮮やかなブルーが美しい。

かつて日本にも3回だけやって来たことがあるそうだが、現在は海外への貸し出しはおこなっておらず、オランダに訪れない限り見ることができない貴重な絵となっている。

カフェ/ショップ

至極の絵画を鑑賞した後は、館内のレストランへ。

オランダ名物のアップルタルト(アップルパイ)を注文。

生クリームと一緒に頂くのが〝オランダ流〟とのことだが、しっとりと甘い林檎とクリームの相性が抜群でかなり美味しかった!

疲れの癒えた後に少しだけショップも覗いてみたが、ポストカードやキーホルダー、文房具用品といった定番商品から、エコバッグ、クッション、スーツケースまで色々なグッズが取り揃えてあった。

まとめ

美術館としての規模は小さいが、希少価値の高い作品を数多く揃えていて大変満足できた。観光でオランダに訪れるなら、是非とも訪れておきたい美術館の1つだろう。

本来ならスキポール空港から特急に乗って30分ほどで行ける距離なので、アムステルダム中心部に行く前に少し足を伸ばしてデン・ハーグまで行ってみるのもいいかもしれない。

マウリッツハイス美術館

ウェブサイト:https://www.mauritshuis.nl/jp/

チケット:大人 €19(18歳以下はウェブサイトより無料券の引き換えが可能)

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