今回は「夏企画」ということで、イギリスの有名な怪談話、ミステリーについて書いていこうと思う。
イギリスを訪れるなら絶対に知っておきたい話を5つピックアップしたので、ぜひ最後まで読んでみてほしい!
世界で最も有名な連続殺人犯
まず最初に紹介するのは、誰もが一度はその名を耳にしたことがあるだろう、世界で最も有名な連続殺人犯。
切り裂きジャック/Jack The Ripper
19世紀のロンドン・ホワイトチャペル周辺で多発した彼の仕業とみられる一連の猟奇殺人事件は、人々を恐怖の底に陥れた。
事件後、彼からの挑戦状と見られる手紙が幾つもロンドン警視庁に送りつけられており、今日の「劇場型犯罪」の走りでもあったとされている。
現在に至るまで未解決であり、その正体を巡っていまだに多くの人々が論争を繰り広げている。
ポーランド系移民の「アーロン・コスミンスキ」ではないかという意見や、アメリカの女性作家パトリシア・コーンウェルが私費を投じて調べた結果、イギリスの画家「ウォルター・シッカート」が切り裂きジャックだったと結論付けてもいたり……これまでに沢山の説が出ているが、本当のところは何も分かっていない。
ちなみにロンドンには切り裂きジャック博物館というのがあり、夜間の「切り裂きジャックツアー」なるものも行なわれているので、興味のある方はぜひ参加してみてはいかがだろうか。
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「切り裂きジャック」を題材にした作品はこちら!
人々を魅了し続ける湖畔のモンスター
続いてはイギリスのみならず、世界で最も有名と言っても過言ではないだろう、こちらのモンスター。
ネッシー/Loch Ness Monster
UMA(Unidentified Mysterious Animals:未確認動物)の中でもおそらく最もよく知られたネッシーは、スコットランド北部・ハイランド地方にある「ネス湖」に生息していると言われている。
ロッホ(Loch)とはスコットランド・ゲール語で「湖」や「入り江」などを表す言葉であり、細長い形をしたネス湖はイギリス最大の淡水湖でもある。
その名が一躍世界に知られたのが、ロバート・ケネス・ウィルソン(Robert Kenneth Wilson)というロンドンからの旅行客が撮影したという1枚の写真。
水面から伸びた長い首のシルエットを写した不気味な1枚は、ネス湖に恐竜に似た大型モンスターが生息している可能性を世界に示すきっかけになった。
ただネッシー伝説は今に始まったものでもなく、西暦565年にアイルランドからやって来た聖職者が湖に棲む怪物を追い払ったという文献が残っているほどその歴史は古い。
太古に棲息していたプレシオサウルスの生き残りであると信じる者、はたまた小動物がそのように見えただけと巨大生物の存在に懐疑的な者、両者の間ではこれまでに数え切れないほど多くの議論がされてきたが、近年になってネッシーの正体は「巨大ウナギ」だったのでは……という説が有力視され始めている。
というのもネス湖周辺には沢山のウナギが生息している可能性が指摘されており、ウナギの稚魚は成長すると約30倍大きくなるとも言われているそうだ。仮に突然変異で1m近くの稚魚が生まれたとすると、とんでもないサイズの巨大ウナギに成長したとしてもおかしくない……
とはいえ、真相は依然として不明のまま。
今月下旬に約50年ぶりの大捜索がおこなわれると話題になっているが、多くの者を虜にする〝ロマン〟ゆえ、波風を立てるのでなく、静かな湖面のまま遠くからそっと眺め続けていたいと思うのはきっと自分だけではないだろう。
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「ネッシー」に関する作品はこちら!
独りでに物が動き出す怪奇現象
家の中の物が何もしていないのに勝手に動き出したり、音を立てたりする等の現象は、古くより霊の仕業ではないかと言われ続けてきた。
ポルターガイスト/Poltergeist
イギリスは、そうした霊によるポルターガイスト現象がこれまでに多く報告されている国としても有名だ。中でもよく知られているのが、かつて存在したミドルセックス州(現在のグレーター・ロンドン、エンフィールド地区)で起きたポルターガイストだろう。
記録によるとその家では母親と4人の娘たちが暮らしていたが、いつしか家具が動くようになり、次第に壁や床を叩く音が聞こえるようになり、しまいには子供が浮遊したり自然発火まで起きるという危険な状況にまでエスカレートしてしまったらしい。
1977年から始まったその怪奇現象は、驚くべきことに何と約2年半ものあいだ続いたとされ、ポルターガイスト現象としては世界最長記録とされている。またそれらの光景を複数の調査員が目撃、記録していたことがエンフィールド事件の認知度をより広めたと言っていい。
イギリスの放送局『Channel 4』でも特集が組まれ、その様子をYouTubeでも見ることができる。
『E.T.』や『ジュラシック・パーク』などで知られるアメリカの映画監督スティーブン・スピルバーグ氏が製作した『ポルターガイスト』では、公開後に出演者の不審死が相次ぐなど〝いわくつき〟の映画となったことでも有名。
また、エンフィールドの怪奇現象が題材になった『死霊館 エンフィールド事件』という映画もあるのでホラー好きの方は是非観てみるといい。暑い夏にピッタリの、背筋の凍るような怖さが味わえるはずだ。
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「ポルターガイスト」を題材にした作品はこちら!
超自然的な魔力を持った女性たち
魔女/Witch
イギリスで魔法使いと言えば、やはり『ハリー・ポッター』を思い浮かべる人がほとんどだろうが、イギリスを含めた古代ヨーロッパでは呪術的な観点から特殊なスキルを持った「シャーマン」と呼ばれる祈祷師たちが力を持っていた。
しかしながら時代が移り変わるにつれ、本来は特権階級的な立場だった彼らを「悪魔と契約した女性たち」という見做すようになり、キリスト教を破壊しようとする社会悪として〝魔女〟を撲滅しようとする活動がヨーロッパ中で盛んになった。いわゆる「魔女狩り」というやつだ。
魔女狩りに関してはアメリカのセーラムという場所で行なわれた魔女裁判が最も有名だろうが、ここイギリスにも魔女にゆかりのある地が数多く残されている。
サマセット州にある「ウーキー・ホール/Wookey Hole」と呼ばれる洞窟は、〝かつて魔女が暮らしていた〟と有名な観光地だ。
16〜17世紀にかけては、ヘンリー8世の命によって「魔女術禁止法」という法律まで作られており、終戦前の1944年にスコットランドの霊媒師ヘレン・ダンカンが最後の違反者として刑罰にかけられるまで、長い間、イギリス社会で効力を持つ法律として認知されていたようだ。
魔女狩りについては最近になってスコットランドの首相が正式に犠牲者遺族に謝罪するなど、今となっては、負の歴史として人々の記憶に残されている。
「魔女」を題材にした作品はこちら!
王妃の霊がさまよう血塗られた塔
ロンドン塔/Tower of London
ロンドン中心部に建つロンドン塔は、イングランドを征服した初代イングランド王「ウィリアム1世」が1078年にロンドンを敵から防衛するために建設を命じたのが起源だとされている。
〝塔〟という名前ではあるが、実際は要塞である。
現在は「世界遺産」として英国王室が所有しており、敷地内には南アフリカで発見された世界最大のダイヤモンドの原石〝The Great Star of Africa〟を加工した「カナリン1(現国王チャールズ3世が所有)」という世界で2番目に大きなカットダイヤモンドが常設展示されてもいる。
そんなロンドン塔は、かつては悪名高い監獄としてこれまでに多くの者が収監、処刑されてきた歴史を持つ。中でも有名なのがイングランドの黄金期を支えたエリザベス1世の生母「アン・ブーリン」や、政治的な理由より16歳で女王となったものの僅か9日間で退位、斬首させられた悲運の女王「レディ・ジェーン」などがこの地で最期を迎えている。
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ロンドンのナショナル・ギャラリーには、そんな彼女の処刑前を描いた有名な絵画『レディ・ジェーン・グレイの処刑』が展示されている。
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非業の死を遂げた者が大勢いる場所ということで、現在でも彼らの昇華できなかった魂の姿を見ることができるという。
またロンドン塔には言い伝えより守られているカラスが多く棲みついており、それがこの場所の雰囲気をいっそう気味悪くさせてもいる。
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「ロンドン塔」を題材にした作品はこちら!
まとめ
というわけで、今回はイギリスが舞台の怪談話やミステリーを5つ紹介してみた。
世界で最も多く幽霊がいる国と言われるだけあって今回紹介できたのはほんの一部、イギリスにはまだまだ興味深いいわく付きの観光スポットが沢山ある。
旅行やワーホリでイギリスに来るのであれば、王道の観光地を巡るのが一般的だろう。ただ、少し趣向を変えてみるとまた違った面白さを見つけることができるのが、長い歴史を持つイギリスという国の良いところ。
是非、参考にしてみてほしい!🇬🇧
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