先日、ビザの申請に必要な語学力試験 IELTS Life Skills の試験を受けてきたので、今日はその時の話を紹介していきたいと思う。
IELTS とは?
IELTS(International English language testing system)とは、イギリス発祥の英語試験で、年間300万人以上が受験する世界最大級の受験者数を誇る英語試験と言われている。
日本で英語試験といえばアメリカの「TOEIC」が有名だが、実は世界では少数派。
特に日本人に人気の留学先(オーストラリア、ニュージーランド、カナダ)はかつてイギリス領だったこともあり、英語力の証明には IELTS が必要であることが一般的となっている。
IELTS の種類
IELTS にはいくつかの種類があり……
- IELTS Academic(英国の大学or大学院への留学準備用)
- IELTS General Training(一般の語学力測定用)
- IELTS for UKVI(英国ビザ用)
イギリスの婚約者ビザを取得するためには「IELTS for UKVI」というジャンルの試験の中から IELTS Life Skills という特定のテストを受験し、それに合格する必要がある。
https://www.britishcouncil.jp/
IELTS Life Skills は一般の IELTS 試験と比べるとかなりマイナーで、必要な情報を見つけるのが難しく、Life Skills 用の参考書などもないので対策の仕方に困る人も多いはず。自分も同じ経験をした。
参考のために自分の英語力(IELTS Life Skills 受験前)について少し触れておくと、TOEIC Reading & Listening を受けた際のスコアは700点ちょっと。英語の勉強は大学受験の時に「速読英単語」や「頻出英文法・語法問題 1000」などの参考書を一生懸命やった程度で、その蓄えがまだ少し残っているといった感じ。
試験の概要
- 受験日:毎月1〜2回
- 受験会場:東京 or 大阪
- 受験レベル:A -1(初級)もしくは B -1(中級)
- 試験時間:約20分
IELTS Life Skills の受験会場は東京と大阪のみで、それ以外の道府県にお住まいの方は試験を受けるために東京/大阪どちらかまで出ていかなければならない。
また受験できるのは A-1(初級)と B-1(中級)で、実施日は毎月1回〜2回。
婚約者ビザの申請に求められるのは〝A-1 以上に合格していること〟なので A-1の合格は必須だが、英語が得意な方は最初から B-1 を受験しても全く問題ない。むしろ今後イギリスで永住権を取ろうと考えているなら、いずれ B-1も合格しなければいけないので。
ただし2万5千円という受験料を考えると、敢えてここでリスクを取る必要もないと思う。
試験当日の流れ(東京会場)
試験開始の1時間ほど前に、最寄りの「牛込神楽坂駅」に到着!
会場の日本英語検定協会ビルまでは、ここから歩いて約10分ほど。
会場に到着したらまずは受付で手続きを済ませるのだが、1人では受付に入ることはできず、当日一緒に受験するパートナー(40代くらいの女性)の方とペアで入室することになる。
まず最初に、受付で個人情報の登録作業を済ませた。
- パスポートのチェック
- 指紋採取
- 顔写真の撮影
- セキュリティーチェック
- ボイスサンプルの録音
ボイスサンプルに関しては英語のテンプレカードが用意されていて、それをボイスレコーダーで録音する。氏名、国籍、試験日、試験がビザ申請のために使用される、という宣誓を3周ほど繰り返して読まされた。
ボイスサンプルを録音し終えると受付手続きは終了で、後は試験開始まで待つことになる。
待機中、スタッフの方に「自己紹介も含めてパートナーと軽く雑談しておいて下さい」と言われ、戸惑いつつも会話を始めたが、それだけで何となく堅さも取れてお互いにリラックスできた感じがして良かった 👍
普段の生活の中でイギリスに行くために頑張っている人と巡り合うことはなかなか無いだろうから、たかが試験のパートナーとはいえ、同じ境遇の人々と繋がれるのはいい機会だと思う。
というわけで、試験時刻になるとスタッフに連れられて実際に試験がおこなわれるフロアへと移動した。
部屋に入ると背の高い優しそうな試験官(♂)が座っており、その横では何やらカメラらしき物も確認できた。机の上にはリスニング用の鉛筆と、メモ用紙が1枚。
IELTS for UKVIの成績証明書には、英国ビザ移民局が認可したテストセンターで受験したことが記載されます。試験会場の様子は、録画されており、英国ビザ移民局の要請により提出することがあります。
https://www.britishcouncil.jp
部屋に入ると、すぐに試験が始まった。
最初に、試験官から1人ずつ同じ質問を受けた。
この3つは、試験を受ける人すべてが最初に必ず聞かれる共通質問となっている。
次に、個別の質問へと移った。自分は「映画」に関しての質問だった。
- 映画を観に行くことがあるか?
- どんな映画が好きか?
詳しくは覚えていないが、確かこんな感じだったと思う。もしかすると、3つ目の質問があったかもしれない。
2人とも質問に答え終わると、今度はリスニング試験へ。
あらかじめ試験官からそれぞれに質問が与えられ、その回答を流される音源から探し出す、といった感じ。既に探すべき情報が分かっているので、これも特に難しくはなかった。
音声もシンプルで短く、メモを取ることもOKなのでそこまで困ることもないはず。
リスニングパートの雰囲気を知りたい方は IELTS のウェブサイトからサンプルが聴けるので、試しに聞いてみるといい。自分も試験前に何度か聞いて練習した。
リスニングが終わると、最後にディスカッションパート。今回の試験で最も重要なパートだと思われる。
試験官からテーマを与えられ、それについてパートナーと意見を交わしていく、というもの。〝ディスカッション〟というと堅苦しく聞こえるが、実際は互いに簡単な質問と回答を繰り返すだけで特に難しくもない。
試験官の方は丁寧に話してくれるし、聞き取れなかった時は繰り返してくれたりもしていた。普段からある程度、英語でコミュニケーションを取っている人なら、きっと問題なくクリアできるレベルじゃないだろうか。
試験結果
試験結果は、後日、自宅へ郵送されてきた。
この試験はシンプルに Pass(合格)か Fail(不合格)の表記のみで、スコアなどは特に無いらしい。このように、自分も無事に合格することができた。
難しい試験ではない、と何度も偉そうに言ってきたが、実際は結果を見るまで不安だった(笑)
不合格になったとしても、採点結果に不満がある場合は Enquiry on Results という再採点を申請することができるそうなので覚えておくといい。ちなみに有料。
合格のポイント!
実際に受験して感じた、〝合格のポイント〟について挙げてみると……
この2点が重要だったように思える。
試験は受験パートナー、そして試験官との共同作業であり、自分1人で成立するものでない。
「英語を使ってコミュニケーションが取れるか」という点が求められていることを考えると、自分よがりで話すのではなく、相手が理解しやすいよう簡潔に、シンプルな回答を心掛けるべき。結果的にそれがパートナーとの会話をスムーズにさせ、試験自体の取り組みやすさにも繋がるはずだ。
〝会話のキャッチボール〟を意識して臨んでほしい。
もしも相手の言っていることが聞き取れなかったり、理解できなかったら、遠慮せずに質問してしまえば大丈夫!自分の解釈が正しいか尋ねてみてもいいし、とにかく前向きに試験に取り組んでいる姿勢を試験官に見せることが大切だ。
自分もディスカッション中にパートナーの質問に対して何度か聞き返すこともあったし、逆に自分の質問に対して聞き返された場面もあった。そんな時は少し質問の仕方を変えたり、なんなら試験官がヒントを与えてくれる場面もあった。
受験して感じたこと
というわけで実際に受験してみて思ったのは、至ってシンプルな試験だということ。
IELTS Life Skills A-1という名前はどこか仰々しいが、実際は2対1の少人数制の英会話クラスみたいな雰囲気だった。試験自体も20分あるかどうかで、思っていたよりもサクッと終わってしまった感じ。
TOEICなどで求められる文法等の知識がなくとも、簡単な単語や文法を使ってコミュニケーションが取れるのであれば普通に合格できるようなレベルの試験ではないだろうか。
不満点は、やはり値段が高すぎること。
たかだか20分のテスト、しかもこの程度のレベルのものに2万円以上も出さなきゃ行けないというのは、さすがにやり過ぎなような気もした。
ただ、ビザのためだけの試験ということを考慮すれば、まぁ仕方ないのかもしれない。
受験に役立つヒント
最後に、受験に役立ちそうな情報を紹介して終わりたいと思う。
A-1は初級レベルの試験とはいえ、やはり受験前にどういう雰囲気か知っておくと本番で役に立つだろう。
「Oxford Online English」という英語学習者のための YouTube チャンネルでは IELTS Life Skills の対策動画をアップしていて、自分も実際にこの動画で大まかなイメージを掴んでから本番に望んだ。
動画は B-1 向けのワンランク上のものだが、A-1 受験者にとっても有益な情報が多く含まれている(動画内でもそのように言及している)ので、これから受験される方は是非参考にするといいだろう。
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