イギリス婚約者ビザ「Giving Notice of Marriage」の手続き

婚約者ビザ

手続きに関するルールは頻繁に変更になるので最終チェックは必ず自分で行なうこと!

1週間という期間を長く感じるか、短く感じるかというのはその時の感情によって変わってくるものだが、〝移住〟に関して言えば、ほとんど何の変化ももたらさない程度の期間だろう。

朝、目覚めて窓の外の空気を吸った時、〝そういえば、自分はいまイギリスにいるのだ〟とふと気付く日が7日間続いたというだけで、本当にあっという間の1週間だったように思える。

そんなほとんど右も左も分からない状況の中、数ヶ月後に行なわれる結婚に関する事前手続きに行ってきたので今回はその時の話をしてみようと思う。

Giving Notice of Marriage とは?

イギリス政府のホームページで Giving Notice of Marriage について調べてみると、以下のような説明文を見ることができる。

You must sign a legal statement at your local register office to say you intend to get married or form a civil partnership. This is known as ‘giving notice’.

GOV.UK

要するに〝結婚する意思があることを法的な手続きに沿って示すこと〟だそうで、結婚に関して法的にサインをするという意味では日本の「婚姻届の提出」に似ているかもしれないが、〝結婚前〟という意味では少し違う。

Register Office とは?

Giving Notice of Marriage の手続きを行なうためには「Register Office」と呼ばれるイギリスの役所に赴く必要がある。

日本では行政に関する手続きが市役所など1箇所に集約されているので分かり易いが、イギリスでは部門ごとに建物も分かれているようで、出生届を提出したい時とパスポートの申請をしたい時では行き先が別ということもある。現在は英国政府のホームページ上で大抵の手続きを行なうことが可能なようなので、役所に足を運ぶ機会が少なくなってもいるそうだ。

ちなみに政府ホームページには〝レジスター〟と表記されているが、昔の名残か実際には〝レジストリー〟と呼ぶ人が多い。

手続きについて

Giving Notice of Marriage の手続きに関しては2つの条件があった。

  1. 手続きは挙式の90日前までに行なわれること
  2. 手続きの7日前までに、イギリス国内に居住していること

これらの条件を遵守するように、イギリス行きの渡航予定を立てる必要があった。

自分は間際まで日本に残っていた上、渡航間際に飛行機が欠航になったりとハプニングに見舞われて冷や汗をかいた経験をしたので、間際にならないよう出来るだけ余裕を持って渡英することを勧める。

当日必要な持ち物

  • パスポート
  • 入国査証(ビザ)
  • 審査の7日前から英国に滞在していることを証明できるもの
  • 証明写真(パスポート用サイズ:縦45mm × 横35mm)
  • 結婚式の予約書類

人によってはプラスαで必要な書類もあるため最終チェックはしっかりと!
自分たちのケースでは彼女がバツイチだったことで「離婚証明書」も必要だった。

審査の7日前までに自分がイギリスに居住しているという証明は、彼女の両親に Confirmation Letter(確認状)を書いてもらって提出した。

証明写真は近所のショッピングモールにあった証明写真機で撮った。パスポート用の写真サイズは世界共通なので、有効期限内であれば日本から持参したものを提出しても構わないそうだ。

当日の流れ

手続き当日の朝、 Register Office に向かう車内でちょっとしたハプニングが発生。なんと、彼女が挙式の費用を期限までに払い忘れていたと言う。予約した際にデポジットの支払いは済ませていたものの、残りの支払いをすっかり忘れてしまっていたらしく、3日前に期限を終えてしまったと言う。どうしよう、と半べそかきながら運転する彼女を到着まで助手席から慰め続けた。

駐車場に着いて急いで式場に連絡すると、なんと意外にもあっさり「OK」の返事。なんでも支払いが遅れる人が多いようで、長めに猶予を待たせているらしい。なんだそりゃ。ひとまず安心してその場で支払いを済ませ、すっきりした気持ちでオフィスへと急いだ。

オフィスでは黒いドレススーツ姿の女性担当者がお出迎え。眼鏡を掛けた白髪のオシャレおばあちゃんといった雰囲気の担当者に『どちらから始めますか?』と尋ねられ、てっきり手続きは2人でやるものだと思っていたので1人ずつやるのかと問うと、『当たり前でしょう?』とニッコリ。自分を先に行かせるわけにはいかない、というわけで手続きは彼女からスタート。

彼女の手続きの間、自分は廊下をぶらぶらしたりオフィスの掲示板を見たりしていた。
掲示板にはBBCや地元紙の記事が貼ってあり、気になってざっくり読んでみたところ、どうやら〝偽装結婚〟に関するもので、中には犯人が逮捕されたという記事もあった。

アメリカを始め、ドイツ、フランス、オーストラリアなど多民族国家の先進国では密入国や不法滞在が未だに大きな社会問題としてある。イギリスは賃金の高さやNHSをはじめとする福祉面で魅力があるようだ。偽装結婚はそうしてイギリスに違法滞在するための手段としてよく利用されるため、当局が相当警戒しているということがヒシヒシと伝わってきた。Giving Notice of Marriage の重要性は、こうしたところからくるのだろう。

そんなことを考えているうちに彼女が戻ってきて、今度は自分の番がやってきた。

  • 氏名
  • 誕生日
  • 電話番号
  • メールアドレス
  • 居住地
  • 結婚式の予定日
  • 式場
  • 自分とパートナーそれぞれの結婚歴
  • 前職
  • 両親の氏名、職業

所要時間は15〜20分くらい。手続きというより、〝審査〟に近いような感じがした。
質問の中には「以前に彼女と親戚関係だったことがあるか?」というものがあって、どういう意味か深掘りしすぎて困惑してしまう場面もあった。要は血縁者同士での婚姻を避けるという意味だったのだろうが、自分と彼女とでは容姿が明らかに違うので質問の意図が分からなくなってしまい、「Noで良いんですよね……?」と恐るおそる回答した。笑

担当者の女性も「英語に不慣れな人には、ちょっと分かりにくい質問もあるよね〜」と言っていて、こちらが戸惑っているとヘルプしてもくれたので、そこまで緊張しなくて大丈夫だと思う。

全ての質問に回答すると、自分の回答が載った用紙を渡されるので、ミスがないか確認した上でサインをして終了となる。「All done, all good」と微笑む担当者の顔を見て、ようやくホッとした。

まとめ

Giving Notice of Marriage は婚約者ビザで渡英する人にとって、現地での最初の重要な手続きとなるにも関わらず、実際にどういったことをするかという細かな情報は Google で検索しても実は意外に出てこないので不安に感じる人が多いかもしれない。

当記事を読んで Giving Notice of Marriage がどういったものか、少しでも理解に役立つことができれば嬉しく思う。

コメント

  1. より:

    初めまして。有益な情報ありがとうございます。
    私はヨーロッパ出身の彼がイギリスにSkilled worker Visa で渡英予定です。結婚はまだ考えておらず、イギリスでcivil partnershipを申請したいと考えています。
    状況は全く違うと思いますが、私の申請要項の中に、同じくイギリス国内で7日間共に住んでいる証明が必要と記載がありました。
    ご両親のサインで通られたようですが、何か具体的な情報(身内に証明できるものがいない場合)などをご存知だったりしますか。Confirmation letterの記載必須項目や状況がホームオフィスのサイトに記載がなく、ご存知であれば教えていただきたいです。

    • YASU より:

      コメントありがとうございます。

      ご質問にあった「7日間共に住んでいる証明」に関してですが、今回のケースであればお二人がイギリスで滞在する場所、例えばパートナーの方が借りている家の「家主」などが第三者としてお二人の滞在を証明できる人物になりうると思いますが、やはり Civil Partnership の申請を行なうレジストリー・オフィスに直接メール等で確認してみるのが一番いいと思います!