NHS加入前にイギリスの病院でお世話になった話

NHS(国民保険サービス)

咳が止まらず……

少し前の話になるが、ある時から痰が絡む咳が止まらなくなってしまった。
まぁそのうち治るだろうと放っておくと、だんだんと酷くなり、最終的には40度近い熱も出る始末。

いよいよ息をするのも苦しくなり始め、〝これはもしやコロナでは……〟と不安になってきたため奥さんに病院に連れて行ってほしいと頼んでみた。すると「病院は本当にヤバい時に行くのであって、この程度では行かれません」と、まさかの一刀両断!!

驚いてそれはどういう時なのか尋ねてみると、「大量に血が出た時とか、ガッツリ骨折した時」と言う。

〝いや、もう既に死んでない……その人?〟

あまりにも極端すぎる回答に半ば絶望しつつ、とはいえこちらだって40度近い熱と酷い咳で息をするのもやっとなわけで、これで病院に行けないと言われたら流石に文句を言わずにはいられない。

渡英前からイギリスの医療制度「NHS =National Health Service(国民保険サービス)」については調べてはいた。医療費が無料なんてどんなに素晴らしいシステムだろうと羨ましく思ってはいたが、そんな自分はビザの関係上 NHS に未加入なわけで、GP( =General Practitioner)と呼ばれるかかりつけ医にも受診できず。

もっと説明すると、そもそもイギリスには日本のような個人病院はないらしく、医師はNHSに所属するかプライベートの医療サービス(それでも最終的にはNHSと繋がっているらしい)に所属するかの二択ということ。

そういうわけでイギリス人は体調が悪くなった際はまず自分が登録しているGPのところへ赴き、状況に応じてより大きな病院を紹介してもらうという流れらしい。どこに行っても診てもらえる日本の医療システムとは違って、融通が効かないのだ。

世界の医療事情 英国

奥さんは自分のGPなんて信用できないと言うし、そもそも診療時間外なのでGPにも行けずに困っていたところ、それならと彼女が「111」に電話してくれた。イギリスでは111が時間外診療のナンバーであり、電話をすると医療アドバイスや病院の紹介をしてくれるそうだ。

  • 999……緊急事態(救急車を呼ぶ必要がある時)
  • 111……時間外診療(緊急ではないが医者に診てもらう必要がある時)

というわけでオペレーターに自身の症状の説明をしたところ、予約が取れるか確認してみるので折り返し電話すると言われた。きっと長くなるんじゃないかという奥さんの予想を裏切るように、少しして電話が鳴り、1時間後に無事予約できたと言う!

やった……やったぞ……!!
というわけで、ようやく医者に行けることになった。

時間外診療へ

場所は、以前ブースター接種を受けにきた時と同じところ。NHSのエリア拠点のような比較的大きな施設で、その中に時間外診療所も併設されていた。

受付で暇そうにスマホを弄っていた若いスタッフに予約があることを伝えると、少ししてからブースに案内され、そのうちに優しそうな黒人のドクターがやってきた。

自分
自分

先生、咳と痰やべぇっす……死にそう。

あらかじめ症状は電話で伝え済みだったので、とりあえず補聴器で呼吸音を聞いてもらい、最後に喉を見てもらった。

お医者さん
お医者さん

喉、真っ赤じゃね? OK、とりあえずこれ飲んどけ!

ドクターの説明を聞いたところ、黄緑色の痰が出ていることから〝細菌感染の疑いあり〟ということで「抗生物質」を用意してくれた!

これだよ先生……僕が欲しかったのは!!

帰り道、車内で奥さんから「よく抗生剤もらえたね」と一言。

意味が理解できず聞き返すと、なんでもイギリスでは滅多に抗生物質を処方してもらえないそうで、だから自分はラッキーだったと言う。ふーん、日本の病院なら必要な時はすぐ出してくれるはずだけど……と思いつつも、帰宅後にお義母さんに話してみると、やはり同じ反応。

本当にイギリスでは抗生物質が貰えないの??

その後の経過

処方された真っピンクの抗生物質を飲み始めて数日、痰が軽くなるなど少しずつ症状は改善していったものの、今度は酷い下痢に悩まされることになった。抗生物質は腸内の善玉菌も一緒に死滅させてしまうため、副作用として下痢の症状が表れることが多いらしい。

正直言って、これが結構キツかった。

抗生物質に効き目があるのは細菌性の感染症のみでウイルスには全く効力が無いということで、ちょっとずつ改善していく自分の病状を俯瞰的に眺めて〝とりあえずコロナでは無さそう……〟と分かって正直ホッとした(その間にコロナ検査も数回したが、やはり陰性)。

全ての錠剤を飲み終わる頃には喉の腫れもほぼ収まり(咳はその後も暫く続いたが)、あとは体力の回復を待つのみという感じで無事に収束した。

抗生物質に対するNHSのスタンス

体調が回復してからNHSの抗生物質の使用に関して疑問に思ったので調べてみると、ちゃんと見解が載っていた。

〝抗生物質は、もう感染症の治療には日常的に使用されません〟

以下、その理由。

  • 多くの感染症がウイルス性のものであり、抗生物質では効果がないため
  • 抗生物質はしばしば治療のペースを妨げたり、副作用を引き起こす可能性があるため
  • 些細な症状に抗生物質を使えば使うほど、より耐性を持った細菌が表れる可能性があるため

なるほど、より強力な細菌現れたら確かに怖いもんな……。

というわけでイギリスの医療機関ではなかなか抗生剤が貰えないというのは事実だということが分かったが、正直苦しんでいる側からすればちゃんと使ってほしいよね、未来が大事なのも分かるけど。

いずれにせよ、健康でいるのが一番というわけだ。

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