先週、お義父さんに誘われてノリッジの応援に行ってきました!!
暖かくなって外出しやすくなってきているのと、シーズンも終盤ということで順位も確定しつつあり、消化試合が多くなってきたのでチケットが比較的取りやすくなってきていますね〜 😄
さて、今回の相手は…… ミルウォールFC !!
1992年に現行のプレミアリーグが創設されて以降、これまで一度もその舞台に立ったことがありませんが、実はある理由からイギリスではビッグクラブ並みに認知度が高いクラブとして知られています。
それが、〝フーリガン〟の存在です。
相手選手、サポーター、時には審判に至るまで、目を付けた者は片っ端から襲い掛かり、時には死者も出すほどの凶悪なサポーター集団……それがイギリスのフーリガンですが、中でも特に〝暴力的〟で知られたのがミルウォールのフーリガンたちでした。
瓶が飛ぶのは当たり前、ゴミ箱、角材、鉄パイプなど目に入るものは何でも武器と化し、刃物で相手サポーターを切り付けたり、グラウンドに手榴弾(ニセモノ)が投げ入れてスタジアムをパニックに陥れたこともあったそうです……

そんなわけで道中からビビり散らかしていたのですが、当のノリッジサポはというと電車内でライバル「イプスウィッチ」をディスるチャントで大盛り上がり(笑)
〝ミルウォールちゃうんかい!!〟
とツッコミたくなりましたが、どんな時でもライバルチームをディスり倒すのが英国流です。
Someone held up a “Run if you hate Spurs!” sign at the London Marathon today 😂😂 pic.twitter.com/x768xKRD6s
— Footy Humour (@FootyHumour) April 27, 2025
近年ではセキュリティーの強化などによって大きな暴動が起きることは無くなったと言いますが、それでもやはりミルウォールのアウェー戦、緊張せずにはいられません…… 😨

最寄りのサウス・バーモンジー駅からは、両クラブのサポーターは争いが起きないようにそれぞれ別の方向へと進まなければいけません。過去に何度か訪れたことのある義理の妹にくっ付いて、フェンス以外何もないアウェー専用の一本道をただ真っ直ぐ歩いていきます。

そして、いよいよ目の前にミルウォールの本拠地「The Den」が登場……!!!!
Den とは野生動物、特に猛獣などの「巣窟」という意味ですが、「悪者の隠れ家」や「密室」という意味もあります。
エンブレムに飛び掛かる獰猛なライオンが描かれていることからも、〝足を踏み入れた者は生きては返さない……〟ということでしょうか、いずれにせよ恐ろしい雰囲気をまとったスタジアムであることに間違いありません。

エミレーツ・スタジアムと比べると圧倒的に地元感の溢れたスタジアムですが、この小規模な雰囲気がいい意味でチャンピオンシップという感じがしますね〜。真ん中から顔を覗かせる工場の煙突もなんだか味があります。

観客席とピッチが近いので選手たちのアップも間近で見れますし、シュート練習の際は飛んでくるボールを避けなけれいけないくらい ⚽️

というわけでキックオフの時間になりました、Let’s go, Yellows!! 🟡

試合が始まって間もなく、ミルウォールの選手が入れたグラウンダーのクロスを相手選手が決めて先制を許してしまいます。
すると、ここぞとばかりに相手スタンドからガラの悪そうなサポーターたちがイギリス特有の男性器を擦る動きの侮蔑ジェスチャーを見せ付けながら、こちらに向かって汚い用語を浴びせ始めます 🚫

大人がやるのは別として、お父さんが小学生くらいの子供たちにその仕草を教えているのを見た時は流石に驚きました(笑)
それは親が教えちゃいかんでしょう……でもこれが〝ミルウォール〟ってことですよね 😂
40分頃にも、ファウルで得たフリーキックからミルウォールが追加点!
アウェーということもあってかノリッジはどこか元気がないように見えましたが、それでもロスタイムに得たコーナーキックからアイルランド代表のシェイン・ダフィー選手が決めて食らい付きます!

後半がスタートしましたが、唐突にピッチ内に侵入者が現れたためセキュリティー数人がピッチサイドから勢いよく飛び出て行きました!!
違う意味で盛り上がり、「まーた節操のないミルウォールサポが連れて行かれてら〜!!」……と笑っていたのですが、なんとまさかのノリッジサポでした(笑)
度重なる挑発にいてもたってもいられなくなったのでしょうが、それを見た相手スタンドからさらに煽られるという悪循環……義理の妹は手で顔を覆っていました 😂
ぶっちゃけそれ以外はノリッジの見せ場はほとんど無く、最後にダメ押しの3点目を決められてゲームオーバー。

1−3で、ホームのミルウォールに敗れてしまいました 🦁
ボールボーイを務めていたミルウォールのヤングボーイズたちも、椅子を片手にノリッジサポのいるスタンドを煽ります(笑)

ノリッジの選手たちは落胆の表情を見せつつサポーター席に挨拶へやってきましたが、その中にはかつてアーセナルで背番号10を背負った〝ガラスの天才〟ジャック・ウィルシャーの姿(アシスタント・コーチ)もありました。
スタンドからは労いの拍手が送られる一方、シーズンを通して低調なプレーに終わりつつあるチームに激昂して罵声を浴びせるサポーターの姿も……。そんな中、チームの柱であるジョシュ・サージェント選手(🇺🇸)が長いことピッチに佇み、スタンドに拍手を送り続けていたのが印象的でした。
厳しい状況ですが、この悔しさを糧に来シーズンはプレミア昇格を目指してまた頑張ってほしいです!

駅に向かうと警察による交通整理が行なわれており、サポーター同士の衝突を防ぐために電車は交互にしか乗れないとのことで、周辺は大渋滞。
階段の下で待っている間、ミルウォールサポーターたちが小気味よく階段を登っていく音と、犬猿の仲であるウェストハムをディスるチャントだけが通りに響き渡っていました。

結局、かなり待たされそうだということで別ルートから帰ることにしたのですが、歩きながら街を見渡すと寂れた住宅が多く目に付きました。
このエリアはかつて白人の貧困労働者たちが集まっていた場所で、そのためこうした安い公営住宅が数多く建てられたそうです。

また、極右政党の支持者たちが幅を利かせてきた場所でもあるとのことで、なぜミルウォールのフーリガンに白人が多いかというのも理解できました。
デイゲームだから良かったものの、ナイトゲームだったら流石に歩いてなかったと思います。

と、これで終わるとミルウォールのネガキャンでしかないので、最後にポジティブな話もして締めたいと思います(笑)
隣駅から電車に乗った自分たちですが、車内で行き先が合っているか話していたところ、自分たちの隣で帽子を目深に被った男が、
「そうだ、この電車で合ってるよ」
と、丁寧にも教えてくれました。
ただ、彼が着ているのは紛れもなく見覚えのある〝ライオン〟のエンブレム……そう、ミルウォールのサポーターだったんです。
〝オワタ〟
黄色いユニフォームを隠すように後ろを向きましたが、不思議なことに、その男はお義父さんと何やら会話を始めました。
「今日は残念だったな。分かるよ、その気持ち」
そんなやり取りから、今日の試合についてお互いの健闘を称え合っているではないですか!!これぞサッカーの母国、これぞ英国紳士です 👏 👏
自分たちが先に降りる際も「気を付けてな」と最後まで律儀な方で、ミルウォールにもこんな人いるんだねぇ〜……と驚いていた自分に、お義父さんがひと言。
——当たり前じゃねぇか、良い人はどこにいても良い人さ。
………(´゚Д゚`)
〝おいおい、何カッコつけとんねん!!〟
さっきまで散々ミルウォールのことディスってたやないかい!!……というのが話のオチですが、まぁ実際その通りなんですよね。
2017年にロンドン橋で起こったイスラム過激派による無差別テロ事件では無惨にも8人の命が奪われましたが、襲われる市民を守ろうと犯人に果敢に立ち向かったのが、たまたま通りかかったミルウォールのサポーターでした。
〝テロリストが何じゃい!!! こっちは天下のミルウォールやぞ!!!〟
〝嫌われ者〟というネガティブなイメージばかりが先行するミルウォールですが、実は英国の誇りを持ち続ける熱い奴らでもあるんですね〜、普通だったらまず出来ません。このニュースを見て、ミルウォールを見直したサッカーファンも多くいるんじゃないでしょうか?
というわけで、我こそはという勇気のあるサッカーファンは、是非一度「The Den」に〝ライオン狩り〟に行ってみてはいかがでしょうか 🦁
The Den(ザ・デン)
地下鉄ロンドン・ブリッジ駅からオーバーグラウンドに乗り換え、サウス・バーモンジー駅で下車すぐ。
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