週末、地下鉄に乗ってテート・ブリテンへ行ってきました。

美術館の最寄りのピムリコ(Pimlico)駅はヴィクトリア線の中で唯一〝他路線との乗り換えがない駅〟としても知られ、利用客も少なく、落ち着いた雰囲気があって個人的に好きになりました。

国立美術館である Tate Britain(テート・ブリテン)は、元はナショナル・ギャラリーの分館として存在していましたが、その後に近現代美術も取り扱うようになり、独立した美術館とになりました。
元々この場所には「ミルバンク刑務所」という、オーストラリアへ流刑される犯罪者たちを収監していた刑務所があったそうで、その広大な跡地を再利用して美術館が建てられた経緯があります。
そういえばオーストラリアって、イギリスが流刑地として使っていた土地だったんですよね。

そんなテート・ブリテンでは著名な作品が楽しめるわけですが、個人的に特に好きな点はやっぱり〝人の少なさ〟です。
中心部から少し外れた場所ということもあって、ナショナル・ギャラリー等の有名どころと比べて格段に空いています。入場料も掛からないため、誰でも気軽にリラックスしてアートを楽しめるのがテート・ブリテンの良さだと思います。

数ある展示の中で最もよく日本人に知られているのが、『オフィーリア』じゃないでしょうか。
オフィーリア(Ophelia) 1851 – 1852
ジョン・エヴァレット・ミレー(John Everett Millais)
シェイクスピアの戯曲『ハムレット』を題材に、主人公ハムレットの恋人オフィーリアの悲劇的な死を描いた。
シェイクスピアなんて自分は名前を聞いた程度の知識しかないのですが、奥さん曰く、イギリスの学校では授業で必ず彼の作品を勉強するのだそうです。日本でいうところの、古典の授業で紫式部の『源氏物語』を学ぶような感覚でしょうかね〜、いずれにせよ自国の芸術を学ぶことはいいことです。
自分も最近、学生時代に日本の芸術にもっとちゃんと触れておけばよかったな〜と思い始めていたところだったので余計にそう感じました。

こちらの『シャロットの女』というタイトルの作品も、テート・ブリテンにおける看板絵画の1つでイギリスでは凄く有名なんだそうです。
シャロットの女(The Lady of Shalott) 1888年
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス(John William Waterhouse)
『アーサー王物語』を題材に、鏡を通してしか現実世界を見ることが許されなかった乙女が、ある日、鏡に映った美しい男性を見つけて窓の外を見てしまい、死の呪いが降りかかるなか、小舟に乗って哀しみ歌を唄いながら彼の元へ向かうが、途中で息絶えてしまう。
イギリスの詩人、アルフレッド・テニスンの同名の詩のクライマックス場面が描かれており、「死」が迫っているということでボートの上の3本ある蝋燭のうち2本の火が消えていたり、彼女の最期を連想させるような箇所が見受けられました。
2つの看板絵画はどちらも「死」を題材とした作品ですが、『オフィーリア』が鮮やかな清々しさがあるのに対して『シャロットの女』は暗くジメジメした雰囲気があり、同じ題材を扱っていても描き方次第でこのようにも違いが出るというのは面白い発見でした。

奥さんが好きだったのがこちらの『Broken Vows』という作品で、日本語だと「破れた誓い」という、いわゆる女性の失恋を描いた絵です。
黒い衣装を着た女性が成就しなかった恋を嘆いている一方、フェンスの向こう側には恋をしていた男性と彼の新恋人が仲睦まじそうに描かれています。
フェンスに生えるつたは彼女が信じた〝永遠の恋〟を表しており、そのつたは一部で終わってしまっています。地面には枯れた花、足元には壊れたネックレスが落ちており、それらも同じく失恋を表しています。
ビクトリア時代はこのような失恋を題材とした作品が特に人気だったそうで、絵の中に隠された幾つもの〝象徴〟を探し出し、描かれたテーマについて考えることを楽しんでいたそうです。


他にも現20ポンド紙幣のデザインとして流通しているイギリスを代表する画家「ウィリアム・ターナー」の肖像画や、彼の作品が数多く展示されていたりもします。
他に印象に残ったのは実は近現代美術の方で、イギリスの女性画家であるウィニフレッド・ナイツ(Winifred Knights)が描いた『大洪水』という作品や、こちらもイギリスの男性画家であるエドワード・バラ(Edward Burra)が描いた『スナック・バー』という作品がインパクトがあって好きでした。




とてもユニークな絵を描くイギリスの芸術家たちです、興味のある方はまた調べてみて下さい。


絵を見るのに疲れたら、美術館内にあるカフェへ。
座席数も多く、静かで落ち着いた空間なのでリラックスできます。コーヒーも美味しいのでおすすめですよ。


ロンドンでのんびりアートを楽しみたいという方にはぴったりの美術館です。
興味のある方は是非訪れてみてはいかがでしょうか 🇬🇧











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