アーサー王の眠る地
今回訪れたのは、イギリス最小の都市「ウェルズ」から南西に30kmほど行った場所にある グラストンベリー(Glastonbury)という町。
実はここ、パワースポットとしてイギリスでは知らない人はいないほど有名な場所でもある。
なぜなら『アーサー王物語』の主人公として知られる、あの アーサー王(King Arthur)が眠る地と言われているからだ。
『アーサー王物語』とは?
『アーサー王物語』とは、ヨーロッパで最もよく知られた中世の騎士道物語の1つで、ざっくり説明すると、5世紀から6世紀にかけて実在したと言われる1人の男が、侵攻してきたサクソン人を撃退してイングランド王となり、やがてはローマ皇帝も倒して全ヨーロッパを治める……というサクセス・ストーリー。
湖の妖精石に刺さった聖剣「エクスカリバー」を引き抜き敵を撃退していく様子など、まさにファンタジー系エンタメの元祖と言える。
ちなみに日本で初めてアーサー王伝説をモチーフにした作品を発表したのは、なんとあの有名な「夏目漱石」らしい。かつてイギリスに留学しており、イギリスを題材にした作品をいくつも発表している漱石のことを考えれば確かに納得だろう。
そんなアーサー王物語だが、戦いで深傷を負ってしまったアーサー王が運ばれ、最期を迎えたとされる伝説の島〝アヴァロン〟が、今日のグラストンベリーなのではないかと考えられているのだそう。
というわけで自分たちが最初に向かったのは、町の中にある小高い丘、 Glastonbury Tor(グラストンベリー・トー)だ。
この丘の頂は標高145mということで、調べてみると東京タワーのメインデッキ(150m)からの眺めとほぼ同じ高さということらしい。何気なく撮ったこの写真でさえ、どこか〝勇者感〟が漂っていてカッコイイ!
登り始めて約30分、ようやく頂上へ辿り着いた!
階段があるとはいえ急勾配の箇所も多く、頂に建つの塔の周りには既に多くの観光客が腰を下ろして休んでいた。
苦労して登ってきた甲斐があったと思わせてくれる、頂からの素晴らしい眺め。周囲に遮るものがないため、グラストンベリーの街並みを一望できる。
丘の象徴でもある「旧聖ミカエル教会」は、1539にヘンリー8世の命により行なわれた「修道院解散」によって塔以外の全てを取り壊され、その財産を没収されてしまったという。
天井もなく吹きさらし状態なため、塔の内側はびっしりと苔に覆われているが、通り抜けていく風に当たりながら流れる雲を眺めているとどこか心が洗われる気がした。
1191年にこの地の修道院の墓地からアーサー王とその妻「グィネヴィア」の棺が出土したという記録が残っているらしいが、その真意については未だ分かっていない。
町が醸し出す不思議な雰囲気
というわけで、今度は丘を下ってグラストンベリーの町を散策することに。
メインストリートには多くの店が並ぶが、普通の町と違うのは、そのお店の多くが〝スピリチュアル〟な商品を扱っていること。
こちらは、とある本屋さんの様子。
〝サイケデリック〟という言葉をはじめ、〝マジ◯ク・マッシュルーム〟や〝L◯D〟など、ちょっとヤバめなタイトルの本も多く並び、どことなく村上龍の小説の世界を連想とさせる雰囲気。
こちらは、お香やハーブ、スパイスなどを売っているお店。
まるで魔女の実験室のごとく、数多くの怪しげなお香で埋め尽くされている。実際に店内でもお香を焚いているので、本屋よりもスピリチャル度は強めだ。
「興味があるけど、沢山ありすぎて困る!」という人でも、店員の方が自分に合うように上手くブレンドしてくれるので安心だ。
ハーブとドライフラワーで出来た、お洒落なライオンのアート。
細い路地を進むと、何やらこちらも怪しげな雰囲気。
黒魔術のために使うものだろうか、不気味な置き物や魔女に関する商品が並ぶ。
ちなみに町を歩いていると、時どきお香だけでなく〝ウィード〟の青臭さもどこからともなく香ってきたりして……(ちなみにイギリスでは、日本と同じく大麻の所持・使用ともに違法)
なんとも不思議で非現実的な町の雰囲気は、きっとアーサー王のいた大昔からさほど変わっていないのだろう。しかし、それがきっとグラストンベリーという地が多くの人を惹きつける理由なのだと改めて分かった気がした。
まとめ
アーサー王伝説の町、グラストンベリー。
音楽が詳しい方なら、この町で毎年開催される〝Glastonbury Festival〟という大規模野外フェスティバルの印象が強い場所かもしれない。
伝説の残る場所ということで町自体もスピリチュアルな雰囲気で、歩いている観光客の中にもヒッピースタイル人が多くいて歩き回っていて楽しかった。
パワースポット巡りが好きな方は、是非イギリスで最も不思議なエネルギーに満ち溢れている町〝グラストンベリー〟を訪れてみてはどうだろうか?
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