イギリスの首都ロンドンにある National Gallery(ナショナル・ギャラリー)といえば、数多くの貴重な絵画を所有していることでも知られる、世界で最も有名な美術館の1つだ。ロンドン観光における目玉の1つとして世界中から観光客が訪れる場所でもある。芸術にそこまで詳しくない自分でさえ、一度は見たこと聞いたことがある絵画が数多く揃っていて大変楽しめた。
今日はそんなナショナル・ギャラリーで必ずチェックしておきたい絵画を5つピックアップして紹介するので、これから訪れようと考えている方は是非参考にしてみてほしい!
地下鉄 Charing Cross(チャリング・クロス)駅で下車、階段を登って地上に出ると有名な「トラファルガー広場」に出る。広場から Whitehall という通りを眺めると、奥からビックベンが顔を覗かせる。
石畳のトラファルガー広場には大きな噴水や銅像がいくつもあって、これぞヨーロッパという雰囲気。すぐ近くには英国王室で有名な「バッキンガム宮殿」もあり、この界隈は常に多くの人で賑わっている印象だ。
ナショナル・ギャラリーは、トラファルガー広場を見渡すようにして建っている。
本来は正面から入場できたそうだが、自分たちが訪れた際はコロナの影響により左側の〝The Sainsbury Wing〟という建物から入場する必要があった。
館内はとても厳かな雰囲気で、壁にずらりと並ぶ世界的に貴重な絵画はまさに圧巻の一言。
日本と違って、イギリスの多くの美術館ではフラッシュを焚かなければ自由に写真を撮ってOKということで沢山の方が写真撮影していた。
絶対に見るべき絵画5選
それでは、ここからはナショナル・ギャラリーに訪れた際に絶対に見ておきたい絵画を勝手に5つ紹介していこうと思う。有名絵画が多く並ぶ中でのチョイスということで選ぶのは大変だったが、その中でも個人的に見て楽しめるものをピックアップしてみたので参考にしてみてほしい。
Whistlejacket
とにかく、めちゃくちゃデカい馬の絵。写真ではその大きさが伝わりにくいのが残念だが、縦横のサイズが 292cm × 246.4cm、描かれている馬がほぼ実物大ということでいかに大きいか想像できるだろう。
この絵の特筆すべきところは、本当に馬しか描かれていないところだと思う。本当に馬以外に描かれているものが一切無いのだ。全力で馬、という点に個人的に感銘を受けた。だからこそこちらも描かれている馬を全力で観るわけだが、艶のある毛並み、躍動感のある筋肉などが細かく丁寧に描かれていて、今にも動き出しそうな雰囲気がひしひしと伝わってくる。
しかも作者のジョージ・スタッブスという人は、誰に教えられたわけでもなく独学で絵を学んだというから凄い。相当な馬好きだったようで、生涯に馬の絵を多数描いていることでも有名だったという。
Belshazzar’s Feast
『ベルシャザルの饗宴』というタイトルのこちらの絵は、暗闇から何かが現れているのを人々が驚き、恐れるような眼差しで見ている様子が描かれているのが印象的な絵画だ。全体の雰囲気からどことなく〝不気味〟な印象を受けるかもしれないが、この絵に描かれている物語が興味深い。
ダニエル・クレイグが主演する007『Spectre』の主題歌になった Sam Smith の「Writing’s On The Wall」という曲のタイトルは、実はこの絵の物語から着想を得ているそうだ。
直訳すると〝壁に何かが書いてある〟という意味になるが、実は〝不吉な予兆〟という意味で使われる言葉で、旧約聖書のあるエピソードから転じたものだそう。
かつてバビロニアという王国が存在し、その王が軍を率いてエルサレムの神殿を略奪した。夜になって勝利の美酒に浸っていた中、王の息子ベルシャザルが奪ってきた杯を使ったところ、突如として壁に手が現れて〝お前の時代は近いうちに終わりを迎えるだろう〟との文字を書き残した。単なる迷信だろうと皆は信じなかったが、事実、その後すぐに王国は滅亡してしまった、というのが話の流れ。
つまり予兆は本当であり、破滅を示唆していたというわけだ。
Sunflowers
フィンセント・ファン・ゴッホが描いたとされる『ひまわり』は7枚あり、そのうち6枚が現存しているが、その中で最も有名とされるものがナショナル・ギャラリーに展示されているこの1枚。
ひまわりの花はもちろん、花瓶、背景までほとんどが鮮やかな〝黄色〟で統一されているのが印象的で、特に背景に至ってはゴールドのように見えるほど鮮やかさがある。
ゴッホというと自分で耳を切り落としたりするなど〝クレイジーな人〟というイメージが強かったが、実際に間近で絵を見てみると、やはり才能に溢れた人だったんだと実感。
ちなみに現存する『ひまわり』の6枚のうちの1つは新宿の「SOMPO美術館」が所有しており、展示もしていると知っている人は意外と多くないかもしれない。
The Execution of Lady Jane Grey
『レディ・ジェーン・グレイの処刑』というタイトルで知られるこの絵画は、フランス人画家であるポール・ドラローシュによって1833年に完成したもの。若干15歳という若さでイングランド初の女王に即位するものの、僅か9日後にその座を引きずり降ろされ、その後16歳で処刑台の上に上がることになってしまった悲劇の人「ジェーン・グレイ」の姿が描かれている。
巨大な斧を持った執行人の姿や、壁にもたれて泣いたり失神しそうになっている侍女たちの姿、そしてジェーンが着ている純白のドレスが、その後訪れる結末を見る者により色濃く想像させる。
昔、上野の森美術館にドイツ文学者の中野信子氏が監修した「怖い絵展」を見に訪れた時にこの絵を実際に一度見たことがあった。改めて考えるとナショナル・ギャラリー側にとってもメインの展示品の1つだったわけで、それを半年間も、しかも遠いアジアの国に貸し出すとなれば簡単な話ではなかったはず。
The Virgin of the Rocks
『岩窟の聖母』というタイトルで知られるこの作品は、イタリアの天才「レオナルド・ダ・ヴィンチ」によって1508年に描かれたと言われているもの。実は同じ作品がもう1枚存在していて、そちらは現在フランス・パリにあるルーブル美術館が所有している。
この絵は〝イエス・キリストの洗礼〟というのがモチーフになっており、それぞれは以下の人物が描かれている。
これまでダ・ヴィンチ作品といえば教科書や映画に出てくるだけのものという感覚だったので、自分が実際に本人が描いた絵画の前に立った時はやはりロマンを感じた。
西洋画は繊細で立体的に描かれているのが特徴だが、ダ・ヴィンチの作品はその中でも一際リアル。
人物の表情がとても滑らかだし、影の強弱も絵を眺めているとは思えない感覚にさせた。きっとダ・ヴィンチが描いた作品だと知らなくても、他の絵とは異なる雰囲気を感じたはず。
それほど何か独特な雰囲気、オーラを作品が持っているように感じた。
番外編
The Blue Boy
『青衣の少年』というタイトルで知られるこの絵画は、イングランドの画家「トマス・ゲインズバラ」の代表作であり最高傑作。
現在はナショナル・ギャラリーではなくアメリカ・カリフォルニアの Huntington Library が所有しているのだが、1922年に競売にかけられてアメリカに渡ることになって以来、100年目という節目の2022年にナショナル・ギャラリーに約3か月だけレンタルで戻ってきていたらしく、偶然にも見ることができた!
光沢のあるブルーの衣服は今見ても非常にスタイリッシュで、品のあって裕福な少年の雰囲気がよく伝わってくる。
あつ森をプレイしている方なら、キツネの商人〝つねきち〟が船で売りに来る商品の中にこの作品があるのを見たことがある人も多いのでは?
まとめ
ナショナル・ギャラリーは世界的にも大変有名な美術館なので、ロンドン観光に来たら絶対に立ち寄るべき場所だろう。美術に興味がない人でも1度は聞いたことがあるような画家の作品がずらりと並んでいるにもかかわらず、無料で見学できるのだから行かない選択肢はない。絵画が好きな人なら、きっと1日いても飽きないのではないか。
館内には寄付金ボックスも設置されているが、個人的にはショップでお土産を買って貢献するのがおすすめ!エコバックやポストカードなど、意外とオシャレでお買い得な商品が揃っている。
【National Gallery/ナショナル・ギャラリー】
Trafalgar Square, London, WC2N 5DN
地下鉄チャリング・クロス駅で下車、出口すぐ
月曜 – 木曜 10:00 – 18:00
金曜 10:00 – 21:00
休館日:12月24日 – 26日、1月1日
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