ロンドンに来たなら、やはり世界最大級の所蔵品を誇る「大英博物館(The British Museum)」は絶対に外せないスポット。
というわけで、今回は実際に現地を訪れて感じた〝大英博物館の魅力〟についてたっぷりと語っていこう思う!
世界最大規模のコレクション
大英博物館は1753年にアイルランド人医師であるハンス・スローン卿の膨大なコレクションを元に設立されたイギリスの国立博物館で、展示品は主に栄華を誇った大英帝国時代に世界各地で収集されたもの。そのコレクションは膨大で、約800万点の常設展は世界の博物館の中でも最大規模と言われている。
日本最古の博物館が上野の東京国立博物館の1872年というので、大英博物館はその120年近くも前から存在しているというのだから驚きだ。
ちなみに大英博物館の分館として派生した「ロンドン自然史博物館」も自然史系博物館の中で世界最大級、また大英博物館から分離した「大英図書館」も世界最大級の蔵書数を誇るというから、当時の大英帝国がいかに多くのもの持ち帰ってきたかが分かる。
日本の3分の2ほどの大きさしかない国が、まさに世界の中心だったというわけだ。
無料で見学できる!
そんな超一級の博物館であるにも関わらず、なんと大英博物館は無料で入れてしまうというから驚きだ!
イギリスでは〝全ての人が等しく芸術を楽しむ権利がある〟という理念のもと、デジタル・文化・メディア・スポーツ省(Department for Digital, Culture, Media and Sport, DCMS)による助成金と人々の寄付金によって多くの博物館・美術館が成り立っている。
そういうわけで大英博物館には小学生が課外学習に来ていたり、美術学生たちが椅子を置いて自由にスケッチしている光景をよく見られるらしい。
皆が等しく芸術を楽しめるべき、という考えが素敵だと思う。
中央ホールには英語のガイドが置かれてあるが、日本語を含めたその他の言語のガイドはショップで購入する必要がある。
また中央ホールにはいくつかカフェがあり、軽い飲食ができるようになっている。
神殿のような豪華な建物
ゲートを潜ってまず飛び込んでくるのは、ギリシャ神殿を彷彿させるかのような博物館の巨大な正面入り口だ。美しい円柱に支えられた三角屋根〝ペディメント(Pediment)〟は、かつての西洋建築における重要な要素だったという。
おすすめの展示物
それでは、ここからは自分が実際に大英博物館を訪れて印象に残ったおすすめの展示物について紹介していきたい。
ラムセス二世の胸像
大英博物館に入場するとまず目に飛び込んでくる、褐色の巨大な胸像。
ラムセス二世は、紀元前約1200年のエジプト新王国のファラオ(王)で、積極的な外交戦略によって当時のエジプトに繁栄をもたらした人物。約70年という長期に渡る在位中にエジプトに存在するいくつもの建造物の建築を命じた。世界文化遺産にも登録されている「アブ・シンベル神殿」はその中でも最も有名なものの1つ。
彼のミイラは1881年に発見され、現在はエジプトの首都カイロにあるエジプト考古学博物館に展示されているそうだ。
ネブアメンの墓の壁画
古代エジプトと言えば、やはり壁に描かれたあの独特な画を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。大英博物館ではそんな古代エジプトの実際の壁画を多く見ることができる。
これはエジプトの古代都市テーベにあったエジプト第18王朝時代の墓で、ネブアメンという人物が沼地で野鳥狩りをしている場面を描いたものだそう。間近で見ると分かるが、何千年という時を経てもかなり色鮮やかなで、当時の神殿がいかに華やかだったか容易に想像できる。
ロゼッタ・ストーン
大英博物館の所蔵品の中で、おそらく最も知名度が高いだろうと思われるのが「ロゼッタ・ストーン」だろう。
1799年にフランス軍人「ナポレオン・ボナパルト」がエジプト遠征をしている最中に発見し、1801年にイギリス軍がフランス軍を降伏させたことで大英博物館へと持ち込まれた。花崗岩で造られたその石碑には、古代に存在した3つの言語(ヒエログリフ・デモティック・ギリシア文字)で同一の言葉が刻まれている。多く研究者がその解読に苦心した後、語学の天才であったフランスの〝ジャン=フランソワ・シャンポリオン〟とイギリスの物理学者であった〝トマス・ヤング〟の研究によって解読されたそうだ。
ちなみに、どの文字を翻訳元にして他の2言語の文章が書かれたとこいうことは現在でもはっきり分かっていないらしい。
アッシリアの人面有翼牡牛像
新アッシリア帝国(当時の北イラク周辺)時代に創られた3m近い巨大な像は〝ラマッス〟とも呼ばれ、かつては宮殿の門に対になって守護をする役目を果たしていた。
頭部は人間、身体は水牛というその形は、見る者に強烈なインパクトを与える。よくよく眺めると、実は脚が5本あることに気付く。その神秘的な姿は、個人的に大英博物館の中で最も印象に残った展示の1つと言ってもいいかもしれない。
近年ではイスラム国によって現地の遺跡が破壊される(ヴァンダリズム)という出来事が相次ぎ、その保護に懸念が出ているそうだ。
ヌルイデス・モニュメント
この巨大な神殿風のモニュメントは、現在のトルコ南西部にあった「リキュア」という都市国家の君主〝アルビナス〟のために造られた墓廟だそう。
博物館の中に神殿のような展示物があるだけで十分にインパクトがあるが、モニュメントに刻まれた彫刻1つひとつも精巧で、顔の表情もリアルに感じられた。正面には頭部が欠けてしまった3人の女性の像が立っているが、思わず本来の姿を頭の中で想像せずにはいられなかった。
ちなみに〝ヌルイデス〟とはギリシャ神話に登場する〝海の聖霊〟のことで、決して何かが〝ぬるい〟わけではない(笑)
サットン・フーの兜
1939年にイングランド東部サフォーク州の古墳から発見された鉄製の兜。
〝サットン・フー〟とはそこで発見された大規模な船葬墓のことを指し、この発見はイングランドの歴史を紐解く上で非常に重要だったようだ。というのも、当時のイングランドはローマ帝国に支配されていた影響でオリジナルの文化を持たなかったと考えられていたから。しかし墓から豪華絢爛な装飾品などが発見されたことによって、当時のイングランドにもしっかりと独自の文化があったという証明になった。
Netflix にはこのサットン・フーの発見を題材にした『The DIG』(日本語タイトル『時の面影』)というのがあるため、興味がある方は観てみるといい。
カフェ・レストラン
Court Café
1階中央のグレート・ホールには『Court Café(コート・カフェ)』と呼ばれるカフェテリアが2ヶ所設けられている。ちょっと疲れてきたなと感じたらここで気軽に休憩できる。
サンドイッチ、スナック、サラダ、ケーキなど意外とメニューも豊富なので、子供連れでも気軽に立ち寄れるのが◎。
Great Court Restaurant
グレート・ホールの螺旋階段を登っていくと『Great Court Restaurant』というちゃんとしたレストランもある。£24というお手軽価格で〝アフタヌーン・ティー〟を楽しめることから観光客に人気。
実際に注文している人を見たのだが、普通にしっかりしたメニューで決して安っぽさは感じなかった。
ショップ
グレート・ホールの階段のある柱の周りは「グレート・コート・ショップ」や「ブック・ショップ」などのお土産物エリアとなっている。
キーホルダー、エコバック、Tシャツ、クッキー缶、アクセサリー、本など博物館に関するあらゆる商品を取り揃えているので、土産物を吟味するのは時間が掛かるかもしれない。
ちなみにビックベンだったりシャーロックホームズといった、いわゆる普通のロンドン土産も売られているので、帰国後のばら撒き土産を買うこともできる。
館内で知っておきたいこと
寄付金
無料で楽しめるからこそ、感謝の思いを「寄付」という形で少しでも届けられたらいいと思う。館内には所々に募金箱が設けられており、現金だけでなくカード払いにも対応している。
£5と書かれているが、これはあくまで目安で寄付の額は自由。自分のできる範囲で気持ちのいい貢献ができるといい。
手荷物預かり所
・Wheeled cases, sports equipment and large items of luggage are not allowed on British Museum premises.
・Storage for luggage is available at major rail stations, including Euston, King’s Cross and Charing Cross.
The British Museum ウェブサイトより
上記のように、館内では安全上の理由からスーツケースや大型バッグなどは持ち込むことができない。
ユーストン駅、キングスクロス駅、チャーリングクロス駅などの主要駅では一時手荷物預かり所が利用できるそうなので、ホテルなどの宿泊施設に預けておくことができない方はチェックしておくと良い。
スリ
世界中の貴重な品々を前に興奮してしまうだろうが、気を付けておきたいのは〝Pickpocket〟と呼ばれる「スリ」の存在。
この点が唯一、誰もが無料で入れるということの〝欠点〟かもしれない。
ロンドンだけでなく、ヨーロッパの観光スポットには多くのスリがいる。一度館内に入ってしまうと安心して気が抜けてしまいがちだが、しっかり館内でも警戒を怠らないようにしよう!
実際に自分たちも博物館内で不審者にピッタリくっ付かれたことがあり、彼女が気付いてすぐに離れたため何事も無かったのだが、貴重品が入ったバッグなどは背後でなく手前に持った方がいい。
まとめ
イギリスが誇る世界最大級の博物館を訪れてみて、改めて人類は実に様々なものを作り出してきたのだと感慨深く思った。
その規模から1日で全てを満喫するのは難しいかもしれないが、だからこそ自分が見たいものをある程度の絞って見て回るとより充実して楽しめるはず!
ロンドンに来たら、是非訪れてみてほしい。
【大英博物館/British Museum】
・Great Russell Street, London WC1B 3DG
・地下鉄 Tottenham Court Road駅、もしくは Russell Square駅から徒歩10分
・開館時間 10:00~17:30(金曜日のみ20:30まで)
・最終入場時刻:16:00(金曜日のみ19:30まで)
・休館日:12月24日~26日
・https://www.britishmuseum.org/
大英博物館をじっくり見て周りたいという方は、徒歩1分圏内というアクセス抜群の場所に位置するホテル「The Montague On The Gardens」への宿泊がおすすめ!
実際に宿泊した際の記事もあるので、こちらも併せて読んでみてほしい。
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